5年とちょっと勤めた職場を昨年退職し、この4月から新たな勤め先で働き始めた。
全く別業界の別職種での再スタートで初めてのことばかりなのだが、毎日が苦悩と戸惑いの乱れ打ちで心があざだらけだ。
中途採用なので新卒として手取り足取り教えてもらえる!とは思わなかったが、さすがにこの職場は初めてなのでここでの働き方を教えて欲しい。
どうして出来ないの?と問われても「この仕事をここでやったことがないからです…」としか言いようがない。
しかし、反論できるほどの心の強度がないので毎日のように「申し訳ありません」が口からまろびでる。ボロン。
「申し訳ありません」
このセリフ、思っていたより自己肯定感をぐいぐい下げてくる。
もっと普通に仕事を教えて欲しいよお!とこねたい駄々を飲み込んで、代わりに「申し訳ありません」をほぼ毎日吐き出していると、自分が無能で、会社の穀潰しで、要らないどころか周囲の時間を奪う有害な人間に思えてくる。
これはまずい、と思い友人たちに相談していたときに思いついたのが、「もうスイカありません」だ。
早口で言ってみてほしい。
「もうスイカありません」
もうスイカありません。
もうすいかありません。
もぉすぃかありません。
もうしわけありません。
早口の「もうスイカありません」は89%程度「申し訳ありません」に聞こえる。
私はスイカがもうないことを謝罪する。
いま私の手元にスイカがないことはどうしようもないことなので、それについて謝罪することは私の心に傷を付けない。
実際に「もうスイカありません」と言うわけではない。
「申し訳ありません」と咄嗟に言ってしまったのなら、傷を浅くするためにその瞬間、おのれのスイカのなさに思いを馳せたい。
本当に申し訳ない場合もあるが、もうスイカがない場合もある。
あるいは、自分をペンギンだと思い込んでいる人間になる、という提案もあった。
謝る時は「ごペンなさい」、「申し訳ありまペン」。
だいぶ現実的ではないが、これはこれで、職場でペンギン人間になってしまった自分を想像すると、猟奇的で笑える。
この妄想自体が殴打された心の湿布になってくれている。
ありがとう、友人たち。
そして、ごペンなさい。
もうスイカありません。