2007年のTVアニメ。後藤圭二監督きむらひでふみ脚本のコンビによるオリジナルアニメ3作目で、いったん人類文明が崩壊しかけた近未来、エネルギーを生みだす石像に鎧を着せて、その勝敗で世界各国が覇権を決める。
キャラクターデザインは、近年『不滅のあなたへ』で原作の絵柄を立体的な生々しいアニメに落としこんでいる藪野浩二。
無料配信されている第1話を見れば、影にたよらず描線のフォルムで人体を立体的に描いた作画は絶品で、以降も田中良作監回などで定期的に良いカットが見られる。
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放送当時はキャラクター原案の門之園恵美によるEDが賞賛され、本編もそのキャラクターデザインになるよう望まれたが、本編の生々しいキャラクターデザインのほうが今でも古びずに魅力をたもっている。
一方で著名なメカデザイナーが参加した多様なデザインの巨大ロボットだが、それを表現するための3DCGはかなり厳しい。当時でも質感は低めで、同時代の『マクロスフロンティア』等と比べて低評価されていた。あらためて見ても3DCGの得意とするような描写が少なく、効果をあげていない。
物語は、まず主人公たちが初戦で倒す中国だけ少し名前を改変している弱腰ぶりが情けない。あくまで他の国家も大災害にともない再編合併されているパラレルワールドなのだが、他の国家は中心的な国名を名前に折りこんでいる。たとえば台湾を意識して「中華」をおりこんだ名前にしても良かったのではないか。ロボット同士の代理戦争のはずが秘密工作部隊が潜入して生身のパイロットを殺そうとしたり、自国の元首を暗殺したりと暗躍も多いが、敵パイロットは当初から紳士的に対等にふるまうし国家としては敗北後に協力体制をとって工作員も日本側へ敬意をはらうようになるので、国名をそのままにしても問題なかったろう。
娯楽としての問題もある。主人公たちが初戦で敵を倒してからは、他国の戦いやパイロットの過去を覗き見する展開がつづく。他国家のドラマを主人公の視点で知っていく物語にしたい意味はわかるが、紳士的な行為とは思いがたい。すべての戦いを管理するUNが戦闘の決着後に各国の事情やパイロットの情報を公開するような描写でも似たドラマはできるだろうし、主人公たちが意図的に他国の戦いを覗き見するのではなく神像の浸食が進んだことで意図せず幻視してしまう描写で責任回避すれば同じドラマにできるだろう。
これは巨大ロボットが十数体しかいないのに26話もの話数が用意されたのが良くなかったのだと思う。ロボット1体だけを描くとしても2話つかわなければならないし、2体が戦うわけだから1回の戦いに4話もつかってしまうことになる。しかもトーナメント制なので、主人公が経験する戦いは単純計算で4回くらいしかない。尺をもてあますから主人公と関係のない戦いも主人公のドラマに組みこむギミックが必要となったし、戦いの決着がなかなかつかない回が多い。
当時のオリジナル深夜アニメらしく、戦争というものの陰惨さだけでなく権力者の意向で犠牲が無意味化する虚しさも描こうとする良さはあるが、だからこそバラエティある巨大ロボットがぶつかりあうエンターテイメントとしての楽しさには欠けてしまっている。
実のところ、コンセプトで期待させつつ実作がそれにとどかないタイプの作品と感じざるをえなかった。その延長として、DVD各巻のライナーノートに収録された各ロボットのラフデザインやメカニックデザイナーの語るデザイン意図が最も面白い。