紫雨こころはすでに自分のアイドルらしいサインを考えていたが、咲良うたはまだだった。急なTV出演で放送局に行った時、局内でファンの女性にたのまれてサインを書くが、まだ考えていなかったのでカタカナで間にあわせのサインをするしかなかった。しかも横にいた響カイトからはサインしている時のファンサービス不足まで指摘される……
綾奈ゆにこ脚本で、ひさびさに響カイトが物語の前面に出る。定番のシンプルな展開のようでいて、響の複雑な側面を見せることに成功していた。
響が喫茶店グリッターでは正体を隠して私人として看板娘の咲良に優しく接するが、アイドルとしてキュアアイドルに会った時は芸能人の先輩として厳しく接する関係性が面白い。主人公が変身ヒロインであるためのドラマに加えて、対する響も変装生活をしていることで関係構図が複雑化している。それをサインを中心としたファンサービスをテーマにすることで、主人公の変化をわかりやすく見せられている。
ただし響の変装が帽子と眼鏡をつけただけで間近からファンに見られても別人と判断される展開に説得力がなさすぎる。以前からこの変装設定は描写されているが、今回にファンにグリッター来店の情報が新たに知られているし、ウィッグなどを追加して変装の度合いを高めても良かったのではないか。
演出は鬼頭和也で作画監督は北島勇樹。本編は水準的な作りで、プリキュアに変身しても当初は止め絵が目立つが、クラヤミンダーが空中に書いたサインをプリキュアに向けて飛ばしてくる描写から画面に動きが出てくる。手描き作画で画面奥から飛ぶ文字がアニメとして楽しいし、対するプリキュアも動きまわって画面を停滞させない。
まったく人員の追加がなくて追いつめられるザックリーの表情もこれまで以上にひどく、まったく組織の体をなしていないと明らかになるところが笑えた。もう悪の幹部やめろよ。