宇宙の地下プロレス連盟がチャンピオンベルトとマリをうばっていった。マリを怪物の餌にするという。マリを救うため異星の敵地に向かったキン肉マンだが、さまざまな罠や敵の襲撃で仲間が次々に脱落する……
1984年に公開された映画1作目で、劇中で表示されないサブタイトルは映像ソフト化でつけられたものだという。Amazonプライムビデオもサブタイトルのない表記。
東映まんがまつりの上映を前提とした50分に満たない中編アニメで、シンプルなオリジナルストーリーが展開される。本筋と関係なくアニメオリジナルの敵が登場して強敵のようにふるまいながら時間内に主人公に倒される、そんな当時の典型的なアニメオリジナル映画。
しかし時代を考慮しても、いや1980年代に急激にハイセンスにオシャレになっていったギャグの潮流のなかで、あまりにも笑いの方向性が古すぎる。当時の有名人をモデルにしたキャラクターが大挙して登場し、主人公が情けない言動をすれば仲間全員がズッコケる。……まあ、原作漫画からして最初は『ウルトラマン』の俗悪なパロディギャグで、キャラクターやストーリーも借り物が多かったので、良くも悪くも違和感はないが。
シリアスアクションとしても凡庸。主人公の想う女性が敵にとらわれ、敵地でさまざまな障害や敵をひとりひとり排除するなかで仲間がひとりひとり犠牲になっていく。
そのまま作ればそれなりに娯楽として見られるものになる類型ではあるが、新鮮さを出す工夫や実感をもたせる描写の厚みがなく、ただ淡々と危機と解決がくりかえされる。
手間ひまをかけてまでキン肉マンとプロレスで戦いたい敵の動機もよくわからない。いやそういうのがプロレスなのだといわれればそうなのかもしれないが。
しかし内容は古いし白土武監督の絵コンテもさして工夫がないのに、映像は予想外に隙がない。
大群で襲ってくる敵がひとりひとり手描きでバラバラに動くし、絵柄が古いなりに作画修正もいきとどいている。セルと背景の色調がそろっていて、背景で動くセル画と美術の違和感が少ないところもアナログ彩色だった当時としては珍しい。初期の東映動画劇場作品の技術力で当時最新の作品を映像化したような印象すらある。
それなりに作画に力をいれていたことを見せたかったのか、エンディングはラフな原画がクリンナップされ映像として完成していくまでを見せるメイキング映像になっている。やろうと思えばどのアニメでもできるだろうが類例がほとんど思いつかない。