子供たちに唐揚げを無料で提供していた男こそ、都知事に不都合な動きをしている都議をつぶそうとした実行犯だった。警察は上層部の圧力をはねのけ、現場の総力をあげて捕まえたが、都知事と実行犯のつながりを見つけることができない。そこで杉下と亀山はさまざまな性格を演じて、都政を食い物にする連中に近づいていく……
真野勝成脚本による最終回SP後編。前回の感想で少しは工夫ある展開を期待したが、このドラマのSPで悪癖だった薄味の内容に終始した。思えばここ最近のSPで工夫されていたのは太田愛や神森万里江などの脚本回で、感想を読み返すともともと真野勝成脚本のSPは感心できないものが多かった。
『相棒season15』第10話 帰還 - 法華狼の日記
「タカハシ」という名前が8年前に黒水町で影響をもった宗教的な指導者の名前という伏線がなさすぎるし、そんな人物が警察に自殺させられた復讐として団地住民が一丸となるという真相が中盤であっさり明かされる。
今回の最終回SPから登場して杉下のライバルのようにふるまう浦神鹿も、あたかも今後も対決がつづくように結末でにおわせているが、犯罪をゲームのように楽しんで高笑いする平凡な犯人キャラクターで新鮮味がない。
謎解きサスペンスとしてひどいのが、都知事と実行犯がつながっている証拠に杉下が気づくくだり。恒例の「僕としたことが……!」という台詞が出たので予想外の何かを見せてくれるかと思いきや、実行犯を捕まえた場所で目立つように配置されていた物に隠していたというだけ。家宅捜査や鑑識が見落とすとも思えない証拠を特命係が見つける御都合主義は今回にはじまったことではないが*1、いくらなんでも今回は説得力がなさすぎる。視聴者の裏をかくような要素もない。
そんな薄味のサスペンスと証拠で敵に肉薄するため、杉下と亀山は怖い警官と優しい警官を演じたり、演説現場に乗りこんで道化師のように聴衆を煽ったりする。特命係というキャラクターのファンなら楽しい描写かもしれないが、さまざまなジャンルのミステリを楽しませる刑事ドラマとしては期待外れ。そうした演技が致命的な証言をひきだす役にたつわけでもない。
いくら聴衆が無責任とはいえ、熱狂していた都知事の正体を明かす映像が流れただけで即座に空気が変わることにも説得力がない。現実では立花孝志氏のように政治活動のなかで犯罪をおこなっていた人物への熱狂はなかなか冷めず、演説現場でカウンター的な活動をおこなうことで少しずつ支持を削ることはできたが、かつての支持者が簡単に誤りを認めたわけではない。
また、前回を見て引っかかった慈善活動への不信感などは、今回を見ても解消されなかった。
『相棒 season23』第18話 怪物と聖剣 - 法華狼の日記
怪文書をきっかけとして会計問題が疑われていくところは情報隠蔽にからんで死者まで出した森友学園や兵庫県知事などを連想させる。しかし同時に、東京都を舞台とした開示請求や監査請求では、女性団体への攻撃を目的として行政に負担をかけていると裁判でも認められた問題を想起した。
すべての助成金が詐欺ではなく必死にやりくりしている団体もあることは言及されているが、現在のトランプ政権のように弱者切り捨てにつながる小さな政府志向を感じた。高校生まで子供の代金を無料にする男の描写も、慈善団体への不信感がありそうだ。
そして後編の視聴後に知ったのだが、真野氏は「Colabo問題」をとりあげたイベントをツイッターで好意的に引用し、「勉強する」とまで語っていた。
さっきまで「障害者がハメ撮りしまくる映画」を上映していた人間としては、いつ正さでできた棒で叩かれるか震えて眠る毎日。明日の柴田さんのイベントで勉強する。
— 真野勝成 (@Manoka1117) 2023年6月17日
欲望会議(柴田英里さん・二村ヒトシさん・千葉雅也さん)が本当に地球防衛軍に思えてきた。 https://t.co/ajaJOeF3Qd
さっきまで「障害者がハメ撮りしまくる映画」を上映していた人間としては、いつ正さでできた棒で叩かれるか震えて眠る毎日。明日の柴田さんのイベントで勉強する。
欲望会議(柴田英里さん・二村ヒトシさん・千葉雅也さん)が本当に地球防衛軍に思えてきた。
匿名掲示板経由で暇な空白氏も反応していたらしく*2、暇な空白氏を都知事選で支持した漫画家の迫稔雄氏や弁護士の高橋雄一郎氏を真野氏がフォローしているという指摘もあった。
相棒最終章の脚本家があの迫先生や有識者をフォローしてたりColabo問題をテーマにした講演会に参加表明していた経緯も考えると、あの界隈を意識した内容かもというのはあながちデタラメではないのかもしれません。 https://t.co/74mjC9LMdk pic.twitter.com/OwJvFzYzKC
— ぱちぇりお【十三鬼将】@きいチャンネルの中の人 (@pache_357) 2025年3月12日
相棒最終章の脚本家があの迫先生や有識者をフォローしてたりColabo問題をテーマにした講演会に参加表明していた経緯も考えると、あの界隈を意識した内容かもというのはあながちデタラメではないのかもしれません。
現在は複数の裁判によってColaboこそが不当な攻撃で叩かれていたと明らかにされているわけだが、真野氏はそこまでフォローできているだろうか。