小料理屋こてまりの小出茉梨から菜の花畑に杉下右京がさそわれる。そこで出会った若い女性画家の虻川希美は、高名な日本画家の娘だという。その虻川徹は先に菜の花畑で亡くなっており、協力して若手画家を発掘するプロジェクトをおこなっていた画商が殺された。そして虻川希美が失踪する。母親のDNAと照合することで、現場に残されていたのが娘の血痕と確定したが……
脚本は初参加らしい當銘啓太。フィクションでたびたび採用され*1、リアルでもまれによくある設定をドラマの根幹に配置。これまでドキュメンタリで実例をいくつも見ていたのに、ぼんやりドラマを見ていたので予想できなかった。虻川徹の個性的な赤いサングラスが、亡くなった経緯にかかわってくるだけでなく、設定の伏線として機能している。
ただ過去の大水害を設定がうまれた原因で、きちんとVFXで描写までするなら、その災害の歴史をさりげなく先に描いて伏線にしてほしかった。主人公の命名に関係する出来事にしたり、菜の花畑が水害後につくられたといった説明はできなかっただろうか。
ともかく、その設定から一直線に真相が解明されず、それでいて設定を活用するかたちで動機をつくりだしたことに感心した。たいていこの設定なら若い女性ふたりの愛憎劇を展開するところだろう。しかし高名な親に影響された若手画家の物語にすることで、通常は個人や家族の範囲にとどまる設定が、周囲にまで影響をおよぼす。そうして自己の目的ばかり重視した犯人をきっちり杉下が切りすてるところも心地よい。
いつものエンディングのこてまりで、冒頭の出来事をきちんと物語に組みこんだところもシャレていた。初参加の脚本家だからこそ、お約束として流さず意味のある描写にしようと工夫したのだろうか。