アニメオリジナルの前半と、ほぼ原作通りの後半と。
「ヤキイモの気持ち」は無生物に魂をやどらせる秘密道具「たましいステッキ」を使って、意思をもった焼き芋がしずちゃんに食べてもらおうと奮闘する。
同じ秘密道具が出てくる原作の描写とは違い、意思を持つと会話までできるようになる。そして焼き芋が好きということを隠しているしずちゃんと、美声でしゃべる焼き芋とで、あたかもラブストーリーのようなすれちがいが展開される。
無生物に対して思いやろうという教訓をえがいた原作よりも、どちらかというと無生物をペットにするような原作回に近い印象があった。展開にひねりがなくて起伏も足りなかったと思うが、作画は悪くなかったし不快になる場面もなかったし、そこそこ楽しめた。
「すい星がギンギラギン」は、秘密道具で人工的に美しい夜空を作ろうと奮闘する物語。原作サブタイトルの「夜空がギンギラギン」から変えられているのは、彗星を再現する描写が追加されているため。
ハンマーで叩いた火花や、殴られた時の錯覚が、漫画記号においては星型に描かれる。それを網で捕まえて小さな星にしてしまうというアイデアが、いかにも『ドラえもん』らしい漫画表現のメタ活用。そこから星をひとつひとつ正確な位置関係で空中に接着していったり、一等星に見たてるための大きな火花を作るため紆余曲折したり、手作り感あふれる制作風景も楽しい。そうした原作の魅力を、ていねいにアニメ表現へ移しかえていた。
国立天文台の渡部潤一氏が監修としてOPクレジットされていたり*1、かなり正確な説明と映像を心がけていたのも良かった。過程がシンプルな分、細部の緻密さが映える。さらに前半の科学的な説明が、何を叩くことで彗星を生むかという小さな伏線として物語に反映されている。
*1:はてなキーワードに登録されていることに驚いたが、最も有名な日本の天文学者のひとりらしい。また、クレジットされていたかどうか確認していないが、金環日食を描いたアニメオリジナルエピソードでも監修していたそうだ。https://twitter.com/momoko_kawakita/status/203287912601755649