原作から既存の秘密道具を引きつつ、物語はたぶんアニメオリジナルの前後半。
Aパートは、「アットグングン」をふりかけて巨大化したスネ夫が巻き起こす騒動。
過去のアニメオリジナルでは、逆に人間が小型化することのプリミティブな面白味を描いた回があり、どちらも味わいが異なりつつ佳作にしあがっていた。
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今回のアニメオリジナルでも、通常は最も小さいスネ夫が巨大化するというシンプルなSF設定だけで物語を転がし続けていく展開が面白い。小型化する秘密道具を巨大スネ夫が握りつぶしてしまい、巨大化する道具しかなくなったところ、のび太の機転で緊急避難的に問題を収拾した結末は、とんちがきいていると同時に絵面のシュールさも楽しめた。消防団や警察や自衛隊が出動する場面で後方指揮の様子を細かく描いていたことから予想したとおり、脚本は大野木寛。
怪獣化した巨大感もよく映像で表現され、信号機にぶつかってしまうような実感ある描写も良かった。鳥居の向こうにスネ夫がいる構図は、ゴジラ映画『三大怪獣 地球最大の決戦』のキングギドラのパロディだろうか*1。


ちなみに、剛田家のテレビがきちんと薄型になっているだけに、ファミコンレベルで作画された作中ゲームの古臭さは浮いて見えた。
Bパートは、昼寝が国際的に人気のある競技となった世界で、のび太が大活躍する物語。
使う秘密道具までほぼ同じ短編「ねむりの天才のび太」が原作にもあるが、そちらは昼寝が全てに優先するため社会が成り立っていなかった。今回のアニメオリジナルではあくまで競技に特化することで、社会がきちんと成り立っていて、昼寝を純粋なスポーツとして描ききる。
ドラえもんは世界が変化したことを知っているはずなのに、マネージャーのような立場で最も熱心に昼寝競技へのめりこんでいるから、作中にツッコミ役が一人もいない。すごく「くうだらない」ことを本気でやっているキャラクター達というワンアイディアだけなのに、笑えてしかたなかった。
ただ、オチは「うつつまくら」と全く同じで今一つ。以前に別のアニメオリジナルでも使われたくらい便利なオチだから、使用はひかえてほしいところ。
*1:http://koyama.mond.jp/diary/tackynotesp.cgi?action=view&year=2003&month=03&day=22&no=20#1のキャプチャ画像を転載させてもらった。転載元では故金田伊功作画によるキングギドラパロディアニメも紹介されている。