最近Windowsに付属しているUD デジタル教科書体を持ち上げるツイートをよく見るので、私も使ってみたいと考えていたが、あわせるべき欧文書体を何にするかという問題がある。UD デジタル教科書体にはその欧文版ともいうべきUD DigiKyo LatinやUD DigiKyo Italicがあるが、これはWindows付属ではない(もっとも私はMORISAWA Fontsを契約しているので使えるが)うえに、個人的に字形があまり気に入らなかったし、もちろんOpenType数式フォントも提供されていないので、これは使わないことにした。
というわけで、今回はComputer Modern Unicode Concrete+Concrete Mathを使ってみることにした。これとUD デジタル教科書体の混植を試してみる。
以下、LuaLaTeXかつWindowsを前提する。(u)pLaTeXとかを使いたい場合はpxchfonとかを使って頑張られたい。macOSとかの場合は適宜読み替えられたい。
設定方法
日本語フォントの設定の仕方に関する一般的な話は、この前書いたのでそちらを参考にしていただきたい。
以下、設定例。なお例によってmathscrが欠損しているので、あまり考えずにNew Computer Modern Mathのもので補っている。あまり調和していないが、どうせ文脈が限定された箇所でしか使われないと思うので無理して調和させる必要があるかは怪しい。
⚠️注意⚠️:Windows 11 24H2からWindows付属のUD デジタル教科書体の書体名が変わったという情報がある。24H2以降は以下では通らないかもしれない。
% in preamble % 欧文フォントの設定 \usepackage{concrete-otf} \setmathfont[range={scr,bfscr}]{New Computer Modern Math} % 日本語フォントの設定 \usepackage{luatexja-fontspec} \setmainjfont[ UprightFont=* N-R, BoldFont=* N-B, AutoFakeSlant=0.18, BoldItalicFeatures={Font=* N-B,FakeSlant=0.18}, ]{UD Digi Kyokasho}
なお、UD デジタル教科書体にはプロポーショナルメトリクスを持ったバージョンがある(プロポーショナルメトリクスを使って詰め組のようなことを行うことを、以下では「プロポーショナル組」と称する)。例えば、仮名のみがプロポーショナルであるような教科書体を使いたい場合は、次のように設定するとよいであろう。
\setmainjfont[ UprightFont=* NK-R, BoldFont=* NK-B, AutoFakeSlant=0.18, BoldItalicFeatures={Font=* NK-B,FakeSlant=0.18}, YokoFeatures={JFM=prop}, RawFeature=+pwid;+kern, ]{UD Digi Kyokasho}
文書にてプロポーショナル組をするべきか否かは意見がわかれる。むやみやたらに濫用するべきではなく使う場面を選ぶべきであり、特にかたい書物の本文組などに使うには極めて慎重になるべきだ、というのはよくある意見なのかもしれない。
個人的な感想としては、普通に文書を作るときはプロポーショナル組はしたくないが、beamerなどのスライドを作るときはプロポーショナル組をしても良いと思う。日本語では絶対にプロポーショナル組をするべきではないという意見もあるかもわからないが、そこら辺は思想信条の問題であろう。
また和文と欧文それぞれ単一ファミリで運用することを前提しているので、サンセリフとかはあまり考えていない。
見本組

見本組のコード
\documentclass[noamssymb]{beamer} \usepackage{geometry} \geometry{landscape,paper=b6j} \usefonttheme{serif} \setbeamertemplate{navigation symbols}{} \usepackage{mathtools} \usepackage[warnings-off={mathtools-colon,mathtools-overbracket}]{unicode-math} \usepackage[StylisticSet=3]{concmath-otf} \usepackage{luatexja-fontspec} \setmainjfont[ UprightFont=* NK-R, BoldFont=* NK-B, AutoFakeSlant=0.18, BoldItalicFeatures={Font=* NK-B,FakeSlant=0.18}, YokoFeatures={JFM=prop}, RawFeature=+pwid;+kern, ]{UD Digi Kyokasho} \begin{document} \begin{frame} \frametitle{消費者問題の解} 消費者は資源制約のもとで,所与の$k_0$,$b_0$に対して通時的効用関数を最大化する. \begin{gather*} \left\{ \begin{split} &\max\int_0^\infty u(c_t)e^{(n-\rho)t}dt\\ &\text{subject to}\quad\dot k=f(k_t)-nk_t-c_t \end{split} \right. \end{gather*} このとき,\emph{Hamiltonian}は次のように立てられる. \begin{gather*} \mathcal{H}=u(c_t)e^{(n-\rho)t}+\lambda_t[f(k_t)-nk_t-c_t] \end{gather*} このとき, \begin{itemize} \item $c$がcontrol variable(ジャンプ可能)である一方で,$k$はstate variable(固定)である. \item $\lambda $はco-state variable(ジャンプ可能)であり,異時点間予算制約式に対するmultiplierである. \begin{itemize} \item すなわち,$\lambda_t$は,$t$における$k$の追加的一単位分の限界的な価値を表現している. \end{itemize} \end{itemize} ここから一階条件を求めると,次のようになる. \begin{align*} &u'(c_t)e^{(n-\rho)t}=\lambda_t\\ &\dot\lambda=-\lambda_t[f'(k_t)-n]\\ &\lim_{t\to\infty}k_t\lambda_t=0\qquad\text{(\strong{横断性条件})} \end{align*} 横断性条件の直観的解釈:最適な消費者は、将来無限に資本ストックが蓄積されるような経路を選ばない。 \end{frame} \end{document}
なるほどCMU Concrete+Concrete MathのイタリックはUD デジタル教科書体と調和しているけれども、ローマン体はあまり調和していない印象がある。セリフが結構トゲトゲしい。