救いのない物語
日本、入江悠監督、113分
売春やドラッグの常習犯である21歳の香川杏は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人でゴミ屋敷のような部屋で暮らしている。
子どもの頃から酔った母親に殴られて育った彼女は、万引きを繰り返し小学4年生から不登校となり、12歳の時に母親の紹介で初めて体を売り、薬物依存症だった。

杏は覚せい剤使用容疑で逮捕され、刑事の多々良と知り合う。多々羅が生活保護や更生の世話をしたことで、杏は少しずつ心を開く。
家を出てシェルターに避難して家族との縁を断ち、多々羅の主催する自助グループ(サルベージ赤羽)に通い、更生施設を取材する記者の桐野の紹介で老人介護の仕事に就き、夜間中学で勉強にも励む。

ところがコロナの流行で仕事を失い、中学も休校となる。すべての関係が断たれてしまう。
さらに桐野が雑誌で、多々羅が更生者の女性に対する性加害者だと報じたことで、杏はさらに希望を失ってゆく。
傲慢な母親の影響で傷ついていた杏は何もかも投げやりだったが、多々良と桐野と知り合うことで普通の生活を取り戻してゆく。それでも彼女は最後のところで緊張の糸が切れてしまい、25歳で命を絶ってしまう。
母親に抵抗できない杏の弱さもあったのではないか。でも壮絶な人生を生きたことは間違いない。杏に幸せな時があったのだろうか。
実際にあった事件に基づいた物語。