ズンズンズンというサメが迫ってくる音響の怖さ
アメリカ、スティーブン・スピルバーグ監督、124分
海水浴客でにぎわうアメリカ東海岸のアミティ島の海に、突如として巨大な人食いザメが出現して若い女性が無残に食い殺される。
警察署長のブロディは海水浴場の閉鎖を訴えるが、市長は町の財政は夏の観光で成り立っているため、意見を聞き入れてもらうことができない。

すると第2の犠牲者が発生し、町はたちまちパニックに陥る。犠牲となった少年の母親が人食いザメに懸賞金をかけたため、さらに多くの人が集まってしまう。
人食いザメと間違われたサメの腹を裂くと車のナンバープレートなど食物でないものがあらわれてきて驚いた。何でも飲みこんでいたのだ。
警察署長のブロディは若き海洋学者のフーパーと荒くれ者の地元の漁師クイントとともに、オルカ号に乗ってサメ退治に乗り出す。主な登場人物はこの3人だけだった。

突如、現れる人食いザメの巨大さに驚いてしまう。サメ目線のカットや姿を現さず、気配だけでサメを意識させる手法は見事だった。恐怖の盛り上げ方がじつにうまいと感心した。特徴ある音響は聞こえてくるが、音はすれども姿は見えない。
無残にも大きな犠牲を払わせる自然界の恐ろしさ、人間対サメの壮絶な戦い。それらの要素を詰め込み、それだけでなくセットはプールではなく大西洋で本物の船を使っての撮影を決行した。それはあまりにも過酷で、予定以上の時間と予算を要したという。
スピルバーグは当時の自分を「完璧主義で経験不足、世間知らずで、海についても幼稚な認識しかなく無鉄砲だった」と振り返る。そうやってこの初期の傑作は完成したのだ。