旅芸人への蔑視
日本、西河克己監督、87分
大学教授が教え子からの結婚報告と仲人の依頼を受け、相手がダンサーだったので、40年前の若かりし頃の淡い恋を回想することから映画は始まる。
当時、教授は20歳の一高生の学生だった。ここまでモノクロで描かれ、回想シーンからカラーになる。

大正末期、学生が伊豆を一人旅する道中で旅芸人たちと出会い、旅は道連れとばかり、旅芸人の娘、16歳の薫に仄かな恋愛感情を抱きながら、下田まで行動を共にしていく。
学生が薫に仄かな恋愛感情を抱いたように、薫もまた学生に恋心を持ち続けて旅をしていた。しかし旅芸人たちへの蔑視が劇中のいたるところに見られる。

この時代に旅芸人というのはまともな仕事がなくて芸で日銭を稼がないといけない貧困層であり、蔑まれた身分の人たちであった。一方で一高生の主人公の学生は未来を嘱望された花形であり尊敬を受ける身分である。映画の中にも旅芸人に対する侮辱的扱いが幾度も出てくる。
「旅芸人の娘が学生さんに惚れても仕方ない」という母親のきつい言葉が現実をあらわしていた。
伊豆地方の宿場町のリアルさがこの映画に格調を与えていた。何だか切ない物語で、薫役の吉永小百合のいじらしさと可愛さに目を奪われた。回想シーンのカラー映像の前後にモノクロの現代の映像が映し出されると時代の変化を感じさせた。
そこには踊子に対する蔑視はなかった。「伊豆の踊子」のシーンを回想にすることで現代の若者との違いを明らかにしていた。