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山の音 1954年

古い物語の中に新しい感性がやどっている

日本、成瀬巳喜男監督 94分

原作は川端康成、脚色は水木洋子

鎌倉の閑静な住宅街、62歳の尾形信吾は息子修一に迎えた嫁菊子にとって優しい舅だった。

息子修一は信吾が重役をつとめる会社の社員、結婚生活わずか数年というのに、もう他に女をつくり、家をたびたび開けた。信吾は社の女事務員からそれと聴いて、愚痴もこぼさず、ひたすら耐える菊子に不憫さを感じるようになった。

ある日、修一の妹房子が夫といさかって二人の子供ともども家出してきた。信吾はむかし修一を可愛がるように房子を可愛がらなかった。それが今、菊子へのなにくれとない心遣いを見て、房子はいよいよひがむ。

 

家事に追われながらも夫の行跡をうすうすは感づいているらしい菊子の苦しみに尾形家には鬱陶しい、気まずい空気が充ちる。菊子は修一の子を身ごもったが、夫に女のあるかぎり生みたくない気持のままに、ひそかに医師を訪ねて流産した。大人しい彼女の必死の抗議だった。

信吾は、思いきって修一の愛人絹子の家をたずねるが、絹子はすでに修一と別れたあとだった。しかも彼女は修一の子を宿していた。

淡々と日常を重ねながら語るストーリーはともすると退屈だが、静かな描写に惹かれる。貞淑な妻から夫との離婚を決意するまでの経緯を描いた物語だった。

特にラストの公園のシーンの折り目正しい精緻な描写の中に、そこはかとなく漂う舅と嫁の間のエロティシズムが絶品だった。そして古風な菊子を始め女たちの新しい自立した女性像が描かれている。

 

成瀬監督は人間の心の奥底に眠る微妙な感情の機微を巧みに掬い取ってみせた。決して古臭い物語だけではなかった。




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