ドキュメンタリータッチの歴史劇
日本、岡本喜八監督、157分
昭和20年7月26日、アメリカ、イギリス、中国から日本に対して第2次世界大戦の無条件降伏を迫るポツダム宣言が発せられるが、日本では、あくまで本土決戦を主張する陸軍と、国体護持を条件とする無条件降伏に傾く内閣との間で意見が分かれて紛糾する。

そんな折、ソ連が参戦し、米軍によって広島と長崎に原爆が投下され、8月14日、ついに御前会議により天皇の一声でポツダム宣言受諾が決定する。
政府は天皇による玉音放送を閣議決定し準備を進めていくが、その一方で敗戦を認めようとしない陸軍将校たちがクーデターを画策。宮城事件を起こし皇居を占拠し、玉音放送を阻止するべく動き出す。
青年将校役の黒沢年男や高橋悦史の狂気の行動や佐々木大尉を演じた天本英世の鬼気迫る演技もすごいものだった。

モノクロ映像には当時の雰囲気を伝えるものがあった。今から思えば不思議なことに軍人にも民間にも徹底抗戦を望む風潮があった。そこには「降伏しては、日本を信じ、勝利のために死んだ英霊に申し訳が立たない」という論理があったのだ。
天皇の一声には信じられないような重さがあった。「私自身はいかようになろうとも、国民にこれ以上苦痛を舐めさせることは、私には忍びえない。」「これ以上の戦いは民族を滅ぼす」と閣僚たちに訴える昭和天皇の姿。戦争の終結には天皇の言葉が大きな役割を果たしていた。
女性が一人しか登場しなくて、男たちの怒号が炸裂する強烈な映画だった。スピーディで臨場感のあるシーンの続く一本だった。
ちなみに天皇はこの映画の公開年の12月29日に家族と共に鑑賞されたという。