私は歩き続ける、君は生き続ける
イギリス、へティ・マクドナルド監督、108分
定年退職し妻モーリーンと平穏な日々を過ごしていたハロルド・フライのもとに、北の果ての町ベリックから思いがけない手紙が届く。差出人はかつてビール工場で一緒に働いていた同僚の女性クイーニーで、癌でホスピスに入院中の彼女の命はもうすぐ尽きるという手紙だった。

近所の郵便ポストから返事を出そうとするハロルドだったが、途中で手紙だけでは物足りないと、800キロ離れた場所にいるクイーニーに直接会おうとベリックを目指し着の身着のままで歩き始める。ハロルドには、クイーニーにどうしても会って伝えたい思いがあった。
バスも電車も車も使わないで一心に歩くだけのハロルドの姿がメディアで評判になり、巡礼者の旅として同行者が増えてゆく。しかしハロルドはこれは違うと思ってまた一人で歩き始める。2か月以上が経ってやっとホスピスにたどり着く。

様々な人々との出会いがあり、それは心に沁みるものだった。移民のために医師としての仕事がなく、清掃員をしているという女医さんの言葉・・「歩くってすごくシンプルだけど案外難しいものね」。
ハロルドにとって25年前に自殺した息子に対する後悔と贖罪の旅でもあった。
歩き続けることでクイーニーの病気が治るという奇跡は起きなかったが、心を開くこと、その先に希望があるということにハロルドは気づいた。そこには相手を思って行動することの大切さがあった。歩き続ける映画だった。