アメリカ側から見た原爆
アメリカ、クリストファー・ノーラン監督 180分
「原爆の父」と呼ばれたアメリカのロバート・オッペンハイマー博士を題材とした伝記映画。
第2次世界大戦中、物理学者のオッペンハイマー博士は、ドイツよりも早く核開発を急ぐアメリカ政府の意向をうけて、原爆開発のマンハッタン計画の委員長に任命される。やがてナチスドイツは降伏し戦争は終結したが、日本はまだ降伏しておらず、戦争を早く終わらすためにアメリカは日本に原爆を投下することを計画していた。

しかし、オッペンハイマーは核実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが広島と長崎に投下され、多くの人々が死んでいった実状を知り云い知れない不安を感じた。最初は戦争を終わらせたことで賞賛を受けていたオッペンハイマーは恐るべき破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けた。
そして戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになる。

当時赤狩りの時代であり、共産主義への脅威は根深いものがあった。オッペンハイマーはソ連のスパイという嫌疑を持たれる。彼が懸念していたのはソ連を始めとして各国が核兵器の軍拡競争をすることだった。オッペンハイマーは世界の破壊者になることを怖れていたのだ。
カラー映像とモノクロ映像が交互に映し出される。この違いが何かはよく分からなかったが、モノクロ映像はすべて戦後の出来事だった。

仕組まれた聴聞会でオッペンハイマーは対立するストローズの策略によって追い込められてゆく。軍人や政治家は科学者を利用していたのだ。この聴聞会のやりとりのシーンの凄さはこの映画の白眉だった。
爆発と燃え上がる炎のイメージ映像は連鎖反応で大気が燃えて世界が焼き尽くされるのではないかという恐怖をあらわしていた。核なき世界はだんだん遠のいている。
前半は少し退屈だったが、中盤から後半にかけて短いカットで緊迫したシーンが続き、引き込まれていった。