スペイン内乱の前夜
スペイン、ホセ・ルイス・クエルダ監督、95分
1936年、スペインの小さな村、喘息のため一年遅れで学校に登校した8歳の少年モンチョ。担任のグレゴリオ先生はモンチョを優しく包み込んでくれた。
先生は生徒たちを森に連れ出し、自然観察する。蝶にも舌があり、花の蜜を吸うためにゼンマイのようになっていると教えられる。
モンチョは先生の話にすっかり魅了されてしまう。学校生活でモンチョは初めての友達や恋、自然の驚異を知ってゆく。緑豊かな自然の風景に惹きつけられる。

一方、ストーリーとは関係のないいくつかのエピソードが描かれる。モンチョの兄アンドレスの中国人女性との淡い初恋と別れが切なかった。

モンチョの成長を中心にした平和な日々が続くが、突然、ラストシーンで映画は様相を一変させる。
時代は大きく揺れ動いていたのだ。終盤になるとファシズムに反対する共和派の人たちへの弾圧が露骨になり、スペイン内戦の不穏な空気が村を覆っていた。
ラストシーンでは共和派であるグレゴリオ先生も連行されてしまう。村の人たちは自分の身を護るために共和派の人たちに罵声を浴びせる。母もモンチョに罵声を浴びせるように言う。モンチョは先生に向かって「アテオ不信心もの」「アカ」、そして泣き顔で「蝶の舌」と叫ぶ。
平和だった村の暮らしが政治によって刺々しくなってゆく。人生には切なくて哀しい事が多すぎると思わせる作品だった。