事実に基づいた虐殺事件
日本、森達也監督、137分
1923年、日本統治下の京城で教師をしていた澤田は妻の静子と共に、千葉県東葛飾郡福田村に帰ってきた。澤田は日本軍が29人の朝鮮人を虐殺した事件を目撃し、それがトラウマになっていた。

9月1日、関東大震災が起こり、朝鮮人や社会主義者たちが、井戸に毒を入れ、日本人を殺しているという流言飛語が飛び交った。
日ごろから朝鮮人を差別していたことが日本人に恐怖心と被害妄想をもたらした。村人たちはそれを信じ、朝鮮人たちを殺そうと竹やりを準備した。

9月6日、香川県から沼部が率いる非差別部落民の行商人たち15名が利根川の渡し場に向かってきた。渡し守との些細な諍いから、村人たちは行商人一行が朝鮮人だと勘違いし、興奮して対立する。
行商人のリーダー沼部は「朝鮮人なら殺してもいいのか」と反発する。
しかし村の自警団は行商人たち9人を竹やりで虐殺した。

100年前に起こった実際の虐殺事件を事実に基づいて映画化した。後に殺害犯たちは実刑になったが、大正天皇の死去による恩赦ですぐに釈放となった。
正義と狂気が混在する福田村。自警団には国を守るためという大義名分があり、同調圧力が村人の冷静さを失わせた。流言飛語や同調圧力に惑わされないためには、もしかしたら知性が必要かもしれない。でも最も必要なものはバランスのとれた「常識」のような気がする。
100年前の事件だが、現在に通じるものがあった。