メロドラマというファンタジー
アメリカ、マックス・オフュルス監督 87分
1900年頃のウィーン、決闘を明日に控えた落ち目のピアニスト、ステファンは相手が射撃の名手と知って逃げ出そうと思っていた。
家に戻ると見知らぬ女から一通の手紙が届いていた。病院からの手紙で「これを読むころ私は死んでいるだろう」と書かれていた。ステファンは手紙を読み始め、様々な出来事を思い出してゆく。
ここから回想シーンになる。

少女リザはアパートの隣室に引っ越してきた新進のピアニスト、ステファンに一目で恋してしまう。一途に思い続けるが、プレイボーイのステファンはまったく気づかなかった。
何年か後、偶然にも二人は再会し夢のような楽しい一夜を過ごす。しかしステファンは2週間ミラノに行くと言ったきり、連絡が絶えてしまう。リザは妊娠しており息子を産む。その子が9歳になった時に幸せで裕福な結婚をする。しかし運命とは不思議なもので荒んだ生活に溺れているステファンを見ると、過去の情熱が蘇ってくる。
浮気性のステファンはリザの事を覚えていなかったが、リザはいつまでも忘れられなかった。

生涯をかけて一人の男を想い続けた女性を情感たっぷりに描いた物語だった。ウィーンの陰影のある街並みが心に残る。
使用人でさえリザの名前を憶えていたのにとステファンは自分を恥じる。そして最後の決断をする。ステファンの決断がこの映画の最も心に残るシーンだった。
原作はシュテファン・ツヴァイクの小説「未知の女からの手紙」