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制度、技術、および繁栄

というNBER論文(原題は「Institutions, Technology and Prosperity」)をアセモグル(Daron Acemoglu)が上げている(H/T Mostly Economicsungated(IZA)版)。
以下はその要旨。

This paper reviews the main motivations and arguments of my work on comparative development, colonialism and institutional change, which was often carried out jointly with James Robinson and Simon Johnson. I then provide a simple framework to organize these ideas and connect them with my research on innovation and technology. The framework is centered around a utility-technology possibilities frontier, which delineates the possible distributions of resources in a society both for given technology and working via different technological choices. It highlights how various types of institutions, market structures, norms and ideologies influence moves along the frontier and shifts of the frontier, and it provides a simple formalization of the social forces that lead to institutional persistence and those that can trigger institutional change. The framework also enables us to conceptualize how, during periods of disruption, existing—and sometimes quite small—differences can have amplified effects on prosperity and institutional trajectories. In this way, it suggests some parallels between different disruptive periods, including the onset of European colonialism, the spread (or lack thereof) of industrial technologies in the 19th century, and decisions related to the use, adoption and development of AI today.
(拙訳)
本稿は、ジェームズ・ロビンソンとサイモン・ジョンソンと共同で進められることの多い、比較開発、植民地主義、および制度変化についての私の研究の主たる動機と議論を概観する。次いで私は、これらの考えを体系化し、それらをイノベーションと技術に関する私の研究と結び付ける簡単な枠組みを提示する。その枠組みの核心は効用-技術的可能性フロンティアで、それにより、技術を所与とした場合、および、相異なる技術の選択を通じて働く場合の両方について、社会における資源のあり得る配分が描かれる。そこでは、各種の制度、市場構造、規範、およびイデオロギーがフロンティア上の動きとフロンティアの変化にどのように影響するかが明らかにされ、制度の持続性につながる社会的な力ならびに制度的変化の契機となり得る社会的な力の簡単な定式化が提示される。また、この枠組みでは、既存の――極めて小さいことが多い――差異が、混乱の時期において、繁栄と制度的な経路に対して如何に増幅された効果を発揮し得るか、を概念化できる。それによって、欧州の植民地主義の始まり、19世紀の工業技術の拡散(もしくはその不在)、および今日のAIの利用、導入、ならびに開発に関連する決定、といった異なる混乱期の幾つかの類似性が示される。

以下は効用-技術的可能性フロンティアの概念図。

要旨の最後で言及している類似性について本文では、当初の制度、歴史的・地理的な特性の小さな差異、および、相異なるプレイヤーが下した決定が、破壊的な変化と新たな機会に対する社会の反応を形成する上で中心的な役割を果たす点を指摘している。植民地主義の場合は、免疫を持たない欧州人が来る前はそれほど大きな差をもたらす要因ではなかった病、ならびに人口密度が、重要な初期的要因になったという*1。19世紀においては、当初の制度の違いが工業化において重要な役割を果たし、大きな差を生み出した。そして現在のAIについても、既存の制度、新たな制度的調整、および我々の選択が大きな影響をもたらすだろう、とアセモグルは論じている。

これまで別々に進められているようにも見受けられたアセモグルの制度に関する研究とAIなど転換的技術に関する研究を有機的に結び付けた、という点で興味深い論文かと思われる。

*1:コーエンのアセモグルへのインタビュー - himaginary’s diaryではその点についてアセモグルは次のように説明している:
現在、約120ヶ国の制度が植民地時代の経験に大きく影響された形で形成されており、その経験は国ごとにかなり違う。米国や豪州は、欧州の本国よりもむしろ良い制度を確立したが、それは植民者が良い制度を推進し、そのために戦ったからである。しかし、熱帯地域の大半では、欧州からの植民者は、以下の2つの相互に関連する理由によって、それとは全く異なる植民地政策を採った。
1.熱帯地域では、インカ帝国アステカ帝国ムガール帝国など、より文明が発達しており、人口も多かった。そのため、労働を管理し利用するという、アセモグル=ロビンソンが収奪的制度(extractive institutions)と呼ぶものを打ち立てた。
2.気候の条件や人口密度の高さのため、欧州人はあまり馴染みのない数多くの病気に直面し、死亡率も段違いに高くなった。そのため、米加豪のようにより良い制度を打ち立てようとするのは不可能だった。




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