病院では、よく痛みを1から10の数字で表すよう求められる。初めの頃は戸惑ったが、今はすっかり慣れた。
両足への荷重が始まって、手で幾分か支えながらの歩行をしている。毎朝のバイタル・チェック時に看護師さんに「痛みは?」と聞かれるが、幸い手術個所などの深刻な痛みはない。
それで「ありません」と答えるのだが、ではなんの痛みもなくスイスイと歩けているのかと言えば、まるでそうではない。筋肉痛になるほど筋肉を使っているとも思えないのだけれど、臀部や太腿に筋肉痛とおぼしい痛みがあり、人工股関節の入っている、そして今回足首に骨折もあった右足は、足全体が常に重だるい。
ベッドに横になるのも、起き上がるのも、手押し車を押して歩くのも、動くことイコール痛みとセットだ。その上3階の部屋に代わった時、今までの褥瘡予防のマットレスから通常のベッドに代わったためだと思われるが、マットレスが合わず、腰痛の兆候まで出始めた。
来週からは全荷重解禁で、歩行器にも手押し車にも頼らず自分の足で歩けるようになり、いよいよ退院も視野に入ってきたけれど、こんなにあちこち痛い状態で、本当に元の生活に戻れるのだろうかと不安になる。
けれども、急性期病院にいた5月の末ころ、あまりの体の痛みとそれを抱えながら過ごす眠れぬ夜のつらさに、もう死んだほうがマシと看護師さんに弱音を吐き、繰り返しては使えない少々強い鎮痛剤の注射を肩に打ってもらったことを思い出した。
あの時の痛みを10とすれば、今の痛みなどせいぜい3か4に過ぎないなあと思う。2ヶ月半という時間で、事態はここまで変わったのだ。きっとこれからもどんどん変わるだろう。
ここを退院しても、今度は6月の始めに見つかった癌の治療のために、また元の急性期病院に入院しなければならない。それも退院が近づいても単純に喜べず、不安に襲われてしまう大きな原因なのだけれど、いま少し、良き入院患者となって治療に専念することにしよう。