以下の内容はhttps://hikikomoriobaba.hatenadiary.com/entry/2025/01/11/160151より取得しました。


誰かが引き受けていくということ『夢幻花』東野圭吾著

2025年の読書一冊目。安定の東野圭吾さん、しかも柴田錬三郎賞受賞作とあってさらに期待は高まる。

 

Amazonの紹介サイトより:

花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。遺体の第一発見者である孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップする。
それを見て身分を隠して近づいてきたのが、警察庁に勤務するエリート・蒲生要介。ふとしたことから、その弟で大学院生の蒼太と知り合いになった梨乃は、二人で事件の真相解明に乗り出す。一方、西荻窪署の刑事・早瀬も、別の思いを胸に事件を追っていた……。
*****

 

二つあるうちの一つ目のプロローグは、植木等の「スーダラ節」の流れる時代。なぜこんな時代の話を?と思うが、終盤になってその意味が分かる。

 

第一線を退き、庭で花を丹精することだけが楽しみになっていた老人が殺された。第一発見者の大学生梨乃は老人の孫で、かつてはオリンピック代表候補として注目を浴びていた水泳選手だった。

 

祖父の庭から花の鉢が一つ消えていることに気付いた梨乃は警察官に話すが、あまり重大なこととして扱われない。どうしても気になって調べる中で、大学院生の蒲生蒼太と知り合う。

 

蒼太は大学で原子力を専攻していたが、東日本大震災で福島の原発事故が起こり、人に話すことさえ憚られるような状況にいる。ある事情から水泳を続けられなくなった梨乃と蒼太、互いに自分の道を失った者同士が、謎の花の行方を追って行く。

 

老人殺害の謎も思いがけない展開をするが、梨乃と蒼太という若者二人が自分の道を見つけていくさまも清々しい。またこの自分で道を見つけていく二人と対照的に、自らの意思とは関係なく運命づけられている役割を、自覚と強い責任感でまっとうする男女も登場し感動する。

 

今の時代に、このような親から子へと秘密裏に受け継がれる役目があるのかどうかはわからない。歌舞伎に代表されるような一子相伝の技芸の世界はあるが、この物語に登場する二人はそんな華やかな道ではない。

 

けれども、世の中はこうした地味な仕事を責任感を持って務めてくれる人たちがいて、平穏に回っていくのかもしれない。マネーゲームに狂う病んだ資本主義の社会にうんざりするが、読書の中の警察や検察はちゃんと機能していて気持ちが良かった。

 

 

 

 

 

 




以上の内容はhttps://hikikomoriobaba.hatenadiary.com/entry/2025/01/11/160151より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14