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幸せな時代の幸せな家族『鳥の水浴び』庄野潤三著

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名作『夕べの雲』から三十五年。
時は流れ、丘陵の家は、夫婦二人だけになった。
静かで何の変哲もない日常の風景。
そこに、小さな楽しみと穏やかな時が繰り返される。
暮らしは、陽だまりのような「小さな物語」だ。
庄野文学の終点に向かう確かな眼差しが、ふっと心を温める。
読者待望の、美しくもすがすがしい長篇小説。

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Amazonの本作品の紹介文だ。そうか、長編小説なのか。随筆か庄野氏の日記を読んでいるような気分だった。兄の庄野英二氏の『星の牧場』は私の大切な本の一冊だったが、弟の潤三氏の作品は本作が初めてだ。

 

Amazonのレビューを読むと、潤三氏の作品はこういった傾向のものが多いらしい。音楽のミニマル・ミュージックになぞらえて、同じような文章が繰り返し現れるこの作品を、ミニマル文学と称している感想があった。「繰り返しは『ボレロ』と違って盛り上がりが全くないのだが、読んでいるうちに心地よくなってくる」と。まさにこの作品の魅力を言い得ている。

 

子供たちが巣立った後の夫婦二人の静かな生活。季節の花や庭に来る鳥のこと、自身の文学仲間との交流や孫たちのこと、妻のピアノの習熟の様子や、氏が演奏するハーモニカに合わせて妻が歌う静かな夜の様子など。出来事と言えば、たまに宝塚に観劇に出かけることくらいで、大変なことも特別なことも起きないのだけれど、その穏やかな暮らしぶりがなんとも心地よく好ましい。

 

喜寿を迎えた著者に長女が送って来たお祝いの手紙に「『東海道中膝栗毛』いやいや全くもって珍道中をくりひろげ」とあって、その珍道中の説明で、数えの喜寿の祝いに子供たち家族と4家族合同で、長女の夫の会社から借り出した24人乗りのマイクロバスに15人乗って、伊良湖大旅行に出かけたことを書いている。

 

ここで私はしみじみ考えた。今の時代、はたして77歳になった時、夫婦二人が何人の家族(同居・別居にかかわらず)になっているか。いや単身のままその年齢を迎える人も珍しくないだろうけれど、たとえ結婚したとしても、現在73歳の私は自分を含め子・孫合わせて5人で、77歳になっても、良くいってせいぜい6人か7人になっていることはあっても、それ以上はまず考えられない。友人・知人を考えても、いまだ独身の子がいたり、結婚はしても子供ができなかったりで、10人以上の家族になっている人は非常に珍しい。

 

クリック一つで世界中のものが取り寄せられ、年齢や性別にとらわれずかなり自由に生きられる時代になったけれど、その間に私たちが失ってきたものをしみじみと思い出してしまう、そんな読書だった。

 

 

 




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