明日で、阪神淡路の大震災から十五年たったことになる。当時避難所にはたくさんの子供たちがいたけれど、あの時5歳だった子供が今はもう20歳なんだから、やっぱりすごい時間がたったのだなあと思う。今の季節は寒く、空気が澄んでいて夕焼けがとてもきれいだ。「空、めっちゃきれいやで!」とぼくは小学校の体育館に避難していたオバハンの袖をひっぱって校庭へ連れて行く。「あんたなあ、こんな時に何あほなこと言うてんの」オバハンは真面目な顔であきれ、両手のひらで鼻と口を覆い温かく白い息を吐きながら「でも、きれいやな」と打ち明けるように言う。そんなたくさんの景色を思いだす。変わったものと変わらないもの。忘れたいと思っている人も忘れたくないと思っている人もいるだろう。ハイチで地震が起こったらしい。あまりニュースは見ない。身近な隣人ではない。悲痛な知らせは体に悪い。しかし募金っていうのはホントうさんくさくて俺はキライやな。お前らそのカネ俺にくれよって思う。まったく…。そんな風な事を心の中でブツブツ言いながら、結局ネットでつい見かけてしまった連絡先に千円募金する。外国への募金っていうのはある日の夕焼けみたいな物じゃないか。見ても見なくても自分の生活にたいした変化はない。でも見てしまったら「あ、きれいだな」とつい指をさしてしまう。その「つい」の部分はセーターについた毛玉に似ている。ほっとくといつまでも気になるのだ。実際のところ祈っても仕方ないんだよ。でもよくなりますように、少しでもマシになりますように、ここを見たハイチの子供たちが将来大金持ちになってうちの家賃を払ってくれますようにって祈ります。がんばろう。


