髭をそらない日はない
夢はもういらなくなった
ニュースと駄弁で耳を痛めた
悪魔のオーケストラの練習がうるさい
快楽もまっすぐのぼらなくなった
悔恨をいやす運動がほしい
もういちど血のなかをとおってこい
弾丸よ 言葉よ 錠剤よ
鮎川信夫「生き残った者のためのエピタフ」(抄)
戦後の現代詩の屋台骨を支えたのはこの種の情念や焦燥や悔恨の感覚である。死刑囚永山則夫に代表されるような。ビートたけし、中上健次、永山則夫、森進一、四人の六十年代新宿カルテット。「永遠じごくじゃけえの」「ナガイミナココロシチャルケエノ」とボロアパートの壁に書きなぐり部屋を飛び出した池袋の通り魔ZOUDA-HIROSHIを今どれだけの人が覚えているだろう。彼は永山が何度も企てその度に失敗した密航を成し遂げる。結果、辿りついた場所は、劇作家サム・シェパードが「モーテル・クロニクルズ」で描いたBad Landに似ていた。造田はアメリカで無一文になり教会で保護される。あこがれ続けたキリスト教徒の国で、せっせと草むしりをする造田。おまえはおれと同じ年、同じ月に生まれた。あれから六年の時間が流れ、遊園地は廃墟になった。おれは演歌歌手になりたかった。
あやまちはくりかへします秋の暮 三橋敏雄
強盗に入ったものの「母思い出した」と自ら110番 3日午後1時すぎ、和歌山市西紺屋の米穀店に男が押し入り、留守番の無職、 ●●●●さん(91)に「金を出せ」と包丁を突きつけた。●●さんが腰を抜かし て「金なんかない」と言うと、男は「田舎の母親を思い出した。やめた」 と包丁を袋にしまい、自分で110番通報して●●さんに「強盗がいる」と伝えさ せ、駆け付けた和歌山西署員に強盗未遂の現行犯で逮捕。調べだと住所不定、無職 ●●●●容疑者(61)。恐怖にすくむ●●さんの腕を抱えて立つのを助け、受話 器を受け取ると警察官が諭す話を静かに聞いていたという。
母の遺体遺棄で猶予判決「死者弔う気持ちあった」 一緒に放浪していた母親の遺体を長野県内に埋めたなどとして死体遺棄と窃盗の罪 に問われた住所不定の無職、●●●●被告(53)に徳島地裁は14日、懲役2 年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。 判決理由で●●●●裁判官は「母の死を親族に知らせて身勝手な生活を責められ ることを恐れた短絡的な行動だが、遺体と一緒に母の好物だった卵焼きを 供えるなど、死者を弔う気持ちを持っていた」と述べた。 判決によると、●●●●被告は昨年6月下旬、各地を転々としながら一緒にテン ト暮らしをしていた母、●●(●●●)さん=当時(76)=が長野県内で死亡し たため、同県松川町の山中に遺体を埋めた。5月中旬には、母親の供養のため四国 霊場88カ所巡りをしに訪れた徳島県で、量販店から日用品計20点(計約 4000円相当)を盗んだ。
海岸に母の遺体埋める−「葬儀代ない」52歳男逮捕 大阪府警泉南署は28日未明、死亡した母親(84)の遺体を海岸に穴を掘って埋 めたとして、死体遺棄容疑で大阪府阪南市尾崎町、無職●●●●容疑者(52)を 逮捕した。 ●●容疑者は27日午前、近くに住む姉(54)に連れられ「母が4日ごろ死亡し た。金がなくて葬儀が出せず6日夜、浜辺に穴を掘って埋めた」と同署に自首。同 署などが同日午後、阪南市尾崎町の海岸を捜索し、母親の遺体を見つけた。司法解 剖し、詳しく死因を調べる。 調べでは、●●容疑者は約18年前から母親と2人暮らし。母親は寝たきりで、同 容疑者が介護していた。母親の年金で生活していたという。 ●●容疑者は25日、姉に母親を埋めたことを告白。姉が説得し、自首させた。遺 体発見現場の砂浜に、木の棒が差してあった。
「乞い唄」天狗、十五歳 二階建ての家の、一階では父親が吠え、 二階では母親が獣のように泣いていた 姉は部屋にこもりピアノをひいていた。 犬は五年後に、交差点の真ん中で事故死する ぼくはそれを、非常に美しい四重奏だとおもった わかった、わかったよ。 ぼくはおまえをゆるしてやるし、けっしてゆるさない この世の法則を理解した。圧倒的に ぼくは誰でもいいから、はじめに目にしたやつを、 殴り殺してやる、殴り殺したい、と思って、 下駄箱からハンマーとスパナをとりだし、 自転車の前カゴにいれ、走りだした。 外はとても寒かった。けれど、 このぼくの疾走感といったら。 あの橋の向こうにはなあ、天狗がおるんやで (祖母は死ぬまで天狗を信じていた) まるで、ひとつの芸術的な、 月あかり、燃える夾竹桃、 一五歳のアルコール中毒者 笑ってしまうほどに、あまりにも 頭の毛先から足の爪先まで、 細胞ごとさみしさで構成された、 機械、360度の町工場、どくだみ、 バラック、真冬のコンテナ、 笑ってしまうことと、膝をかかえること、 それだけが、ぼくのエサ あの橋の向こうにはなあ、天狗がおるんやで (祖母は死ぬまで天狗を信じていた) いつまでも泣いていた母は血を吐いて死んだ 父は獣のように血を吐いて死んだ 姉はピアノの上に血を吐いて死んだ 犬は交差点の真ん中で血を吐いて死んだ ぼくは誰でもいいから、はじめに目にしたやつを、 殴り殺してやる、殴り殺したい、と思って、 下駄箱からハンマーとスパナをとりだし、 血を吐いて死んだ
「乞い唄」 お手紙拝読致しました。 相変わらず切手は貼られておりませんでしたけれど。 「かわらぬか。おげんきですね。さようなら」 かつてあなたは私の内腿に ふかく墨を入れて下さいましたね。 「ミツ イノチ」 武器を持たぬ人民による革命 いまでも胸が痛みます。