読んだ本の数:16
読んだページ数:3635
ナイス数:510
あとは切手を、一枚貼るだけ (単行本)の感想ともに芥川賞作家の小川洋子と堀江敏幸による14通の往復書簡小説。奇数章が小川の手による「私」の手紙、偶数章が堀江の書く「僕」の手紙という構成だ。手紙の1通、1通に掌編のような物語が綴りこまれていてそれらも確かに読み応えがあるのだが、そうした一つ一つがなんのたとえで提示されているのか、それが謎解きに直結するものなのかどうかが
はっきりしないのがもどかしい。ああこれは、まんまと著者たちのしかけた罠にはまっているなあとおもいつつも、のめり込んでいく自分を抑えられずに一気に読んだ。
読了日:12月02日 著者:小川 洋子,堀江 敏幸
茶色の朝の感想書店横断フェア #はじめての海外文学 vol.5 で翻訳家永田千奈さんが推薦している本。ページ数からして大人のための絵本だろうとあたりをつけて図書館で借りて読んでみたのですが、これが内容はもちろん、歌うような訳文といい、絵といい、なにもかもがすばらしくて思わず手元に置いておきたくなる本でした。仕事はあるし、毎日やらなきゃならないこまごまとしたこともあるし、ごたごたもごめんだし……やらないことの理由ならいくらでも挙げられるけれど…。やっぱり黙っていてはいけないと改めて。
読了日:12月04日 著者:フランク パヴロフ,ヴィンセント ギャロ,藤本 一勇,高橋 哲哉
火葬人 (東欧の想像力)の感想舞台は第二次世界大戦前夜のプラハ。主人公は火葬場で働く中年男性コップフルキングル氏。大げさな言葉が並ぶ割に抑揚のない語り口、細やかに明かされることのない登場人物たちの胸の内、常に愛と共に語られる死。物語は最初からずっと不穏で不吉な雰囲気に包まれている。様々な要因で「安定」が崩れようとしているとき、現実を直視することをせず、政治家や知識人などが声高に叫ぶ号令に多くの人々がからめとられていく。この物語のなによりも恐ろしい点は、今私の生きているこの社会にもつながっているように思われることかもしれない。
読了日:12月06日 著者:ラジスラフ・フクス
お砂糖とスパイスと爆発的な何か: 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門の感想評判通り読みやすく,想像していた以上に面白かった。思わずシェイクスピアを積んでしまい,本棚からディストピア小説をひっぱりだして再読してみよかという気にも。
読了日:12月07日 著者:北村紗衣
生きるか死ぬかの町長選挙 (創元推理文庫)の感想CIA秘密工作員フォーチュンがとある事情から潜伏を余儀なくされ、赤の他人になりすまし、田舎町シンフルに身を潜めることからはじまった<ワニ町シリーズ>第3弾!今回も終始ニヤニヤ笑いがとまらない。あらゆるものに愛着を持たないようにしてきたはずのフォーチュンが愛した相手はよりにもよって、ちょっとイカレたおばあちゃんコンビと、ちょっといかした保安官助手。もひとつおまけに小さなあの子も加わって、現役復帰を諦めてバイユーが流れるワニ町にどっぷりはまってしまうのか!?魅力溢れる<ワニ町>から目が離せそうにない。
読了日:12月09日 著者:ジャナ・デリオン
憎しみに抗って――不純なものへの賛歌の感想翻訳新刊が出たことをきっかけに再読。何度読んでもスゴい本だ。世界のあちこちで起きていることはもちろん、自分の身近で起きているあれこれについても、それはおかしい、それは間違っていると思うことは多い。私自身そう思った時点でできるだけ声を上げるよう心がけてもいるつもりだが、思いばかりが先走ってなかなか説得力を持つまとまった話ができない場面もまた多い。この本はそんな私を励ましてくれる本でもある。
読了日:12月11日 著者:カロリン・エムケ
ゆめみるけんり vol.1読了日:12月11日 著者:ゆめみるけんり,ロバート・フロスト,アレクサンドル・ブローク,ダンテ,フェルナンド・ペソア,ミケランジェロ,ニコライ・フョードロフ
140 Fairytales (百町書林)の感想140字で綴られる物語たち。お気に入りは「失えないもの」「ハミング」「言葉集め屋」「何かの終わり」あたり。読み始める前は、たった140字で物語を紡ぐなんて無謀じゃないの?と思っていたけれど、ここには確かに、空や海や丘があり人々がいて、出会いや別れや喜びや悲しみがあった。
読了日:12月15日 著者:哀愁亭
金色の髪のお姫さま――チェコの昔話集の感想チェコのグリムと評されるカレル・ヤロミール・エルベンが収集した13篇の昔話に、アルトゥシ・シャイネルの美しい挿絵がたっぷり詰まった1冊。
読了日:12月16日 著者:カレル・ヤロミール・エルベン
掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集の感想2年前早稲田文学増刊女性号に掲載されていた本書の表題作でもある「掃除婦のための手引き書」を読んだ時からの「この人の作品をこの訳者でもっと読みたい!」という願いが叶った。見開き2Pにも満たない掌編から、20Pほどの短篇まで24篇もの作品が収録されていて、長短の別を問わず、そのどれもが圧倒的な存在感を持って迫ってくる。(もし本当にそうなっていたら……。わかっている“もしも”の問題点はそこだ。遅かれ早かれ壁に突き当たってしまうのだ。)物語の中の彼女はそういうけれど、作家である彼女はその壁を易々と突き破っていく。
読了日:12月18日 著者:ルシア・ベルリン
ヴァイオリン職人と消えた北欧楽器 (創元推理文庫)の感想書評サイト本が好き!を通じての頂き物。読みたかったシリーズの第三弾。なんと日本のファンの熱い声援に応えての日本オリジナル書き下ろし作品なのだそう。今回の主な舞台はノルウェー。彼の地ゆかりの音楽家たちをめぐるエピソードや、次々と紹介される彼の地の名所に圧倒され、昔一度だけ訪れたことがある街並みや美しいフィヨルドを思い出して、謎解きそっちのけで旅の気分にどっぷり浸る。旅の話に夢中になって、うっかり殺人犯を追っていたことを忘れそうになった頃、そうは問屋が卸さないとばかりに第二の殺人が!?
うん。面白かった。
読了日:12月20日 著者:ポール・アダム
青い麦 (光文社古典新訳文庫)の感想16歳と15歳という幼なじみの恋。青い花<ツルニチニチソウ>という意味の名前の少女ヴァンカと一つ年上のフィリップ少年、少年の前に突如現れる年上女性。繊細な描写に感心しつつも、ああこれもまたフランス文学にありがちな年上女性に性の手ほどきを受ける少年というパターンなのね~と読み終えた後、鹿島茂さんの解説で目から鱗がぼろぼろ落ちた。なるほどねえ。そういうことだったのか!これはますます『コレットの地中海レシピ』が楽しみに。
読了日:12月21日 著者:コレット
シェリ (光文社古典新訳文庫)の感想49歳の元高級娼婦と、25歳の青年との恋愛小説だと思っていたので、どう考えてもこれは私の守備範囲外という気がして、これまで敬遠してきたのだけれど、プルーストからの派生読書で読んでみたら、これがなんだか妙に面白かった。若い頃読んだらまた違った感想をもったかもしれないが、50を過ぎた今ならわかるあれこれもあるような気が。
読了日:12月22日 著者:コレット
四隣人の食卓 (韓国女性文学シリーズ7)の感想都心にギリギリ通勤圏内の山間に「少子化対策の切り札」という鳴り物入りで国が建設した集合住宅は、「入居10年以内に子どもを3人、産み育てる」という条件付き物件。高倍率をくぐり抜け、ここで暮らすことになった4組の家族の生活を描く……という設定の韓国発の近未来小説。作者の絶妙なさじ加減が日常に潜む苦さと怖さを醸し出す。読みながら思わず(うぎゃあ~)って変な声がでてしまったよ……。
読了日:12月23日 著者:ク・ビョンモ
返却はお早めに あやかし文庫へようこそ (小学館文庫キャラブン!)の感想え?ここで終わってしまうの?続きは??
読了日:12月23日 著者:椎名蓮月
ぼくたちは幽霊じゃない (STAMP BOOKS)の感想政情不安の続くアルバニアからイタリアへと命がけで海を渡った実在のモデルの体験を元に描かれたイタリアの児童文学。過酷な状況を描いてはいるが、会話を中心にした構成で、主人公をはじめ登場人物たちがいきいきと描かれているので、映画を見ているような臨場感がある。主人公や妹が抱く率直な疑問に、両親や周囲の大人たちが、言葉を選びながらも丁寧に答えてくれるため、主人公たちをめぐる状況が把握しやすくなっていて、若い世代にも読みやすいのではないかと思う。
読了日:12月26日 著者:ファブリツィオ・ガッティ
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