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『さあ目をとじて、かわいい子』

 

あたしは、魔女なのかもしれない。
「あんたが悪魔だってことは、初めからわかってた。やっぱ、思ったとおりだわ」
ママはいつもそういっていたから。

母親からうけた虐待がきっかけで、5歳で保護されてから、里親の家や児童養護施設など、「いろいろな家」を転々としてきたオリヴィアは、11歳の時、16番目の家、アイヴィー家で暮らし始めた。
農場のある古い大きな屋敷には、父親のジムと子どもが3人に赤ん坊が1人。
オリヴィアはこれまでの経験から、自分が里親家族とうまくいくとは思っていなかったが、それでも、少しずつ距離を縮め、その家の子どもたちと仲良くなっていく。

だが、18世紀に建てられたその屋敷には、多くの子どもを殺して殺人罪に問われた女性が暮らしていたという忌まわしい噂があって、それを知ったオリヴィアは次第に幽霊の気配を感じるようになり、恐怖を募らせていくのだった。

ホラーのような展開にドキドキさせられる一方で、徐々に明かされるオリヴィアのこれまでのあれこれに胸が締め付けられる思いがする。

 あたしはひとりぼっちになるのがきらい。そう言ったよね?みんなから忘れられた気がしてくるし、腺ペストかなんかにかかって、ばったりたおれて、そのまま死んじゃうかもしれないって考えたりする。そうなっても、きっとだれも気づいてもくれない。それか、あたしなんかいないほうがだんぜんいいって気がついて、もうあたしと家族でいるのがいやになったりとか、急にあたしを置いて気球旅行に出かけちゃったりとか、船でアフリカに行っちゃうとかするかもしれない。こんなことを言うのはバカみたいだとか、思わないでほしい。あたしのママは、どっかに出かけたまま、あたしたちのことを忘れちゃうことが何度もあった。里親家族があたしをショートステイの施設に放りこんで、自分たちだけ旅行に出かけちゃうことだって、何回もあったから。



里親の家に飾ってあるものを壊したり、わざとベッドでおしっこしたり、暴力を振るったり…、そういうことを繰り返せば、その家から追い出されることがわかっていても、そうせずにはいれらないオリヴィアの胸のうち。

そうこれは、苦しくなるほど切実に、ただがむしゃらに愛を求め続ける少女の物語だ。

約束なんて信じないことにしてんの。人を信じないのといっしょ。この世界では、自分で自分の面倒を見るしかないのよ。だれもかわりにやっちゃくれない
乳飲み子を抱えながら大学進学をめざす18歳のグレースがいうように、たとえどんなに悲惨な境遇にあっても、誰も代わってあげることはできないという厳しい現実がそこにある。

だがしかし読者としては、どこかに必ず手を差し伸べる大人がいると思いたいし、自分もそういう大人でありたいとも願うのだった。

 




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