シドニー=ガブリエル・コレット『コレットの地中海レシピ』(村上葉 編訳)。自立した女性の先駆けとして活躍した、20世紀初頭のフランスの作家コレット。グルメの先駆けでもあった彼女の、素朴で豊穣な昔ながらのフランス料理の真髄が詰まったおいしいエッセイ
ある日、目にしたこんなツイートに思わず目を奪われて、出版社のHPをチェックしたのが運の尽き!?
「地中海のていねいな暮らし」と題して、綴られる田舎暮らしと素朴な料理……目次をみただけでも、涎がでそう。
それだけではない。
後半は「コレットとその仲間たち」と題して、シャネルにプルーストにマリー・ローランサンらとの交流の記憶が収録されているのだという。
(※目次はこちらの詳細情報に掲載しておいたので興味のある方はご確認ください。)
これはもう買いでしょ!!と、勢い込んで発売日前に予約をしたのはいいけれど、考えてみたら私、これまでコレットの作品を1つも読んだことがなかった!
そんなわけで、予習として『青い麦』と『シェリ』を読んでから、本書を手にしてみた。
なるほど、『青い麦』で描かれていた繊細な風景描写は、コレットが愛したプロヴァンスの田舎道、海の色とピタリと重なる。
後半に収録されたいくつかの手紙は、当時の文化人の交流記録としても興味深いが、本書のメインはなんといっても、夫のゴーストライターから始まって、踊り子をしながら小説を書き、三度結婚し、いろんな意味で名をはせた当代きっての人気作家が、その派手なイメージとは裏腹に、それでもやっぱり熱く語る食材と料理と田舎暮らし。
写真もイラストも詳細なレシピもないけれど、とても美味しそうで、読んでいるだけで幸せな気分になれる。
高熱にうなされるコレットに容赦なく迫る『ヴォーグ』の〆切が、当時から人気の連載だったことをうかがわせもする。
もっとも難点がないわけではない。
これは編集上の問題だとは思うが、編訳を担当された村上葉さんは料理のプロであるらしく、折々に大ざっぱなレシピを添えてくれていて、味のイメージがつきやすくなってはいるのだが、紙面上、著者の仕事と編訳者の仕事の区別がつきにくかった。
(2020年03月23日 本が好き!投稿)