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『春のほとりで』

 

デビュー作『君の顔では泣けない』を読んで以来、追いかけると決めている作家君嶋彼方氏の4作目。

なんでも高校を舞台にした“青とも春とも限らない日々”を描いた連作短篇集だという。
物語は全部で6つ。
そのどれもに「茜色」とか「黄金」とか「真白」とか、色を含んだタイトルが付いている。

俺と彼女の誰にも言えない共通点。

小学生時代の忘れたいけれど忘れられない苦い思い出をあの子だけは知っている。

どうせまたパシりに使われているだけだと思っていたけれど…。

知りたくなかった、知られたくなかったSNSでのあれこれ。

一緒に同じ夢を追いかけたいと本気で思っていたけれど。

男女の間に友情は成立しないものですか?

高校生活、思うようにいかないあれこれ、二人だけの秘密……。
つるんでいるだけの「友情」、性欲に翻弄される「恋」、自分でも持て余すほど「自己顕示欲」。
つらくて、痛くて、しんどくて、せつなくて、そのくせ逃げ出すこともできずに、学校に通う日々。

いわゆる「青春」ものにありがちに思える設定も、少しだけ視点を変えて眺めてみると、いろいろなものが見えてくる気がする不思議。

ああそうだよね。
青である必要も、春でなければならないこともないはずで。

この本を読んで、ありのままのあなたでいていいのだと、肯定され、励まされる読者がいたなら、素敵なことだな、と素直に思える物語たち。

この本を読んで、あのころの自分を少しだけ、肯定してあげてもいい気がしてきたわたし。

 

 




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