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『スイマーズ』

 

物語はさまざまな「事情」を抱えつつ、ニューヨークのビルの地下にある公営プールに通うスイマーたちの声を一人称複数で拾い上げる群像劇で幕を開ける。

地下のプールという閉鎖的な空間に思える場所でありながら、いったん水に入れば、悩みやしがらみからも自由になれる、そんなスイマーたちのプールへの依存ぶりが、実際にプールに入れ込む身近な人を思いおこさせ読者は思わず頬を緩ませる。


あの人この人の声で始まったはずの物語はやがて、スイマーのひとりアリスの物語へと移っていく。
彼女は自分の名前を覚えている。
どうやら認知症を患っているらしいアリスの記憶をたぐり寄せ、覚えていること、忘れてしまったことをあれこれと数えあげはじめると、読者の心はざわめいて落ち着かず、ページをめくるペースがだんだんと遅くなる。


介護施設の職員による新規入居者である「あなた」への説明は、委細細かく懇切丁寧な語り口でありながら、あけすけで辛辣で、厳しい現実を突きつけられるようで身につまされる。

そしてまた、作者本人を思わせる作家である娘の視点で、打ち明けられるあれこれに胸が痛む。


前半と後半ではまったく異なる雰囲気で、語り手も語り口も様々。

読み手自身のその時々の人生の立ち位置によって、感じ方、受け止め方が大きく変わってきそうな物語。

この夏、親の介護問題に直面している私には少々辛く、それでいて改めて、自分自身と向き合う時間を与えられたような気持ちになった物語だった。




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