ゲラをまとめるのに使われる“ダブルクリップ”の話題で、読者をぐっと惹きつけるプロローグからはじまるのは、本が主題の幻想奇譚連作集。
新作が出せない作家や翻訳に行き詰まるマイナー言語の翻訳家、メッタ斬りで知られる文芸評論家が書評を書けない本、元天才美人女子大生詩人の今、蔵書家が訪れた不思議な古本屋、「幻想」も「奇譚」もあるのに、なぜだか妙にリアルな気がしてしまうのは、本と本の作り手と読み手をめぐるなかなか厳しい「現実」に裏打ちされているからか。
たとえばP20には、こんなくだりがある。
作中にこういう指摘があったとき、なんとはなしに読み流すか、思わずムッとしてしまうか、「それってあるある!」と、ドキッとしながら思わず苦笑してまうか……そういう受け止めの違いが、この本を面白いと感じるかどうかの差異につながるような気も。
ちなみに私は……
当初の期待以上になかなか面白く読みました。
新作が出せない作家や翻訳に行き詰まるマイナー言語の翻訳家、メッタ斬りで知られる文芸評論家が書評を書けない本、元天才美人女子大生詩人の今、蔵書家が訪れた不思議な古本屋、「幻想」も「奇譚」もあるのに、なぜだか妙にリアルな気がしてしまうのは、本と本の作り手と読み手をめぐるなかなか厳しい「現実」に裏打ちされているからか。
たとえばP20には、こんなくだりがある。
毎日のように出される新刊。ネットでつながった読書好きたちの間では、発売から数日の間に「買いました!」と画像をアップし、せいぜい二週間以内に感想を書き込まないと仲間外れになってしまう。しかし、子育てや仕事や学業に追われていると、そう簡単に一冊読み切れるものではない。そうこうしているうちにまた注目の一冊が出てしまう。いや、ただ新刊を追っているのなら、ジャンルを限ればついてゆけないものでもない。しかし実際には、数年前に出たあれは読んでいるか、十年前に出たそれは読んでいるか、十五年前に四十二冊の著作を残して亡くなったあの作家はもちろん読んでいるだろう、それとこれとあれはもう古典と言っても過言ではないのだから読んでいるべきだ、その本を論じる前にこれとそれは読んでおくべき……「読むべき本」は淘汰されて減ることはあっても、増えるほうには追いつかない。
作中にこういう指摘があったとき、なんとはなしに読み流すか、思わずムッとしてしまうか、「それってあるある!」と、ドキッとしながら思わず苦笑してまうか……そういう受け止めの違いが、この本を面白いと感じるかどうかの差異につながるような気も。
ちなみに私は……
当初の期待以上になかなか面白く読みました。