“自らも独裁政権に抗したポルトガルを代表する文学者の詩とその息子による絵”で
描き出される戦争の本質……。
ブラティスラヴァ世界絵本原画展イラストレーション賞など多くの賞を受け、
既に15言語に翻訳されているというこの本には、
ストーリーらしいストーリーはないのだが、
すっぱりと答えが出せないあれこれを問いかけられているようで
とにもかくにも後を引く。
「絵本」ではあるが、児童書ではなく、
「詩」の本ではあるが、
読み手に絶えず問いかける「哲学」の本ともいえ、
人類が繰り返してきた戦争という「歴史」の本でもあると同時に
今なお続く愚行と罪を「告発」する本でもある。
地元図書館では、YAコーナーに収められるようだが、
10代の若者たちだけでなく
より広い読者層に向けて、
発せられているメッセージのようにも思われる。
改めていうまでもなく、戦争は、
本やテレビの中だけでなく、
今このときも現実に……
頁の向こうから投げかけられたあれこれを、
つかめているのかいないのか
ぐるぐると考えながら、目を閉じると
まぶたの裏にさっき見たばかりの絵が浮かんでくる。
そんな「絵本」だ。