舞台はパキスタン。
パンジャーブ地方の小さな村の比較的豊かな農家に長女に生まれついたアマルは12歳。家の手伝いをし、妹たちの面倒をみながら学校に通っている。
勉強が大好きで、大きくなったら教師になりたいと思っていた。
けれども、残虐非道の乱暴者と悪名高い大地主の息子ジャワッドとのトラブルをきっかけに、父親の借金のカタに大地主の家の使用人になることに。
父さんはすぐに迎えに行くと言ったけれど……。
夢も自由も奪われて、連れて行かれた屋敷でアマルは、ジャワッドから仕置きと称して暴力を振るわれたり、他の使用人からのいじめにもあう。
それでも図書室からこっそり持ちだした本に慰めを見いだし、使用人の子に文字を教えたりも。
さらには奥様付きの使用人として、女主人の信頼を得るようになり、 家のことも、理不尽な世の中のあれこれも少しずつ理解していくようになる。
どうして男の子の誕生が望まれるの?
どうして女の子は学校を続けられないの?
どうして娘を嫁にやるために親は借金をしなければならないの?
どうして返しても返しても借金は無くならないの?
どうしてあの人たちは悪いことをしても罪に問われないの?
どうして…
どうして……
ジェンダーの問題がある。児童労働の問題がある。
そしてまた搾取の仕組みや封建的な社会の問題、癒着や不正、腐敗もあって……。
あれこれと知れば知るほど、絶望するしかなかったアマルだったが、それでも、少しずつ味方が増え、ついに転機が訪れる。
著者はパキスタン系アメリカ人。
子どもの多様性を書籍に反映させることを促進する非営利団体“We Need Diverse Book Campaign”の創立メンバーとのこと。
物語の向こうにいるであろう、たくさんのアマルのことを思う。
いつかは、そんな時代もあったけれど…と、過去の話になる日がくることを願う。