道端に死にゆく数多のセミ達を見て、
生を感じる。
普段は虫が嫌いだから、
早くいなくなればいいと思っているけど、
こうやって見ると、
彼らもまた、
我々と同様に生きていることに変わりはないんだなぁと思わざるを得ない。
死をもって生を知る。
残酷だけど、
そういうこともあるよね。
真夜中のスーパーの裏道で、
アスファルトで固められた道を歩く、
羽化直前のセミの幼虫を見つけた。
こんな所に出てきてどうする。
君が行くべき場所は、
こんな道路の真ん中じゃなくて、
もっと安心して掴まれる木の幹だろう。
一瞬気にかけて、
結局何もせずに私はその場を立ち去る。
私と彼は、
別々の世界に生きているから。
私はそんな無闇に手を出すことなどできない。
私と彼は、
ただスーパーの裏道で、
ちょっとだけ互いの生きる世界の境目に触れただけだから。
私にできることは、
彼の無事を祈りながらその場を離れることだけである。
彼が今どこでどうしているかなど、
私には知る由もない。
大学が山を切り開いたような場所にあるので、
当然都会の住宅街よりは虫に遭遇することも多い。
セミはもちろん、
カブトムシや、
ゴキブリや、
名前も知らない虫やらなんやらまで、
至る所に虫を見つける。
ここまで虫に遭遇する回数が多いと、
至極当たり前なことではあるが、
人間よりも虫の方がマジョリティーな存在だという認識が際立つので、
むしろ我々人間があなた達のテリトリーに足を踏み入れてしまって申し訳ありません、
という気持ちも少しは湧いてくる。
だがしかし、
虫が嫌いな私にとって、
わざわざ我々の世界に飛び込んでくる虫ほど害悪なものはないので、
殺しはしないからどこか我々の知らないところに行ってくれ、
といつも強く願っている。
別にただそこに生きている虫に、
無闇矢鱈になにか罪を擦りつけようとしているわけではない。
ただ、
積極的に虫と生活圏を分けることで、
互いに害がないように生きようとしているのに、
それを無視してくる奴には、
それなりの処置をとる。
ただそれだけの話なのだ。
自宅の網戸にセミが止まっているせいで、
窓が閉められない。
おかげで今日は、
クーラーの効かない部屋で、
汗だくで寝るしかないのだ。
もし明朝私が息絶えていたら、
その時は君のせいだぞ。
覚悟しておけ。