非言語コミュニケーションとは、言葉に頼らない形で情報を伝えるコミュニケーションのことです。
ノンバーバルコミュニケーションとも呼ばれ、パラ言語・周辺言語という言い方をされることもあります。
たとえば次のような要素が含まれます。
・声の大きさやトーン
・イントネーション
・表情
・しぐさや身振り手振り
・話す間や雰囲気
言葉そのものではなく、言葉の背景にある要素でメッセージを伝えるのが特徴です。
これらを上手に使うことで、言葉だけでは伝えきれない情報を相手に伝えることができます。
今回は、言語・非言語のコミュニケーションの使い分け方について整理していきます。
- 1. 非言語コミュニケーションの利点
- 2. 非言語コミュニケーションの注意点
- 3. 非言語でメッセージを伝える方法
- 4. 非言語コミュニケーション能力は無理に鍛える必要はあるのか
- 5. 最後の決め手はやはり「言葉」
- まとめ
1. 非言語コミュニケーションの利点
コミュニケーションには大きく分けて次の2種類があります。
●言語的コミュニケーション
・言葉の意味や内容で伝える
・言いたいことをはっきり言う必要がある
●非言語的コミュニケーション
・表情、語気、雰囲気など言葉以外の要素で伝える
言葉にしてしまうと角が立つ場合でも、非言語で伝えれば柔らかく伝えられることがあります。
①角が立たない伝え方ができる
例えば、精神的な攻撃を受けたときなどに、直接刺々しい言葉や対応をしたくない場合に有効です。
嫌がらせをする人は、相手が思った通りの反応をすることを面白く思っているのでしょう。
そのため、嫌がったり、怒ったり、困った様子を見せたり、強く反論したりすると、かえって相手を喜ばせてしまうことがあります。
そんなときは、言葉で対抗するよりも「へぇー」と受け流してみることです。
きちんと言葉にするよりも、少し呆れたような反応で受け流す方がよい場合もあります。
無反応や無回答、響かなかった、というのが相手にとっては一番つまらないものだからです。
このように、はっきり言葉にすると角が立つことでも、非言語なら自然に伝えることができます。
②交渉で主導権を握りやすい
交渉の場面でも、非言語コミュニケーションは役立ちます。
例えば、時々「不同意のサイン」を送るだけでも、相手は不安や迷いを感じます。
その結果、交渉の主導権をこちらに引き寄せることができる場合があります。
しかも言葉として失礼なことを言っているわけではないため、
・証拠が残らない
・相手も怒りにくい
という特徴があります。
言葉そのものではなく、言葉の「背景」に変化をつけるという発想です。
2. 非言語コミュニケーションの注意点
非言語の対応は、便利な一方で、使い方を誤ると誤解を生むこともあります。
①人から嫌われる原因になることもある
自分では気づかないうちに、非言語的にネガティブなメッセージを発している可能性もあります。
また、黙ってばかりで自分の考えを言葉で伝えなさすぎることも問題です。
親しい人に、自分の初対面の頃の印象を聞いてみると良いでしょう。
自分の認識と他人の印象の差を知ることで、思わぬ気づきが得られることがあるからです。
②迎合する人、人の顔色ばかりうかがう人と思われることがある
人の顔色をうかがうことは、非言語コミュニケーションとしては良い面も多いものです。
しかし状況によっては、「この人は相手に迎合する人だ」と思われることもあります。
さらに、相手に合わせすぎると、気づかないうちに自分の気持ちを大切にできなくなることもあります。
もし非言語コミュニケーションを多用していると思い当たる場合は、意味合いや使い分けに気を付けるようにしてみましょう。
非言語だけに頼るのではなく、次のようにバランスをとることが大切です。
・自分の言葉でも伝える
・自分の気持ちも尊重する
・相手の気持ちも尊重する
非言語に頼りすぎて、「周りに何でもやってもらって、おいしい思いばかりをする人」と思われて、敬遠されてしまってはもったいないですよね。
③空気が読めない人と思われる場合もある
「空気が読めない」という言葉は、近年ではよく聞くことも、よく使われることもあるかと思います。
よく使われているということは、それほど大きな欠点とみなされない場合もあります。
しかしその一方で現実には、重要な役割を任されにくくなったり、抜擢されにくくなることもあります。
これは、相手の立場に立って考えてみると分かりやすいでしょう。
誰かが、その人の人生の中で大きな努力の末につかんだ大切な瞬間を、「私は空気が読めませんので」と言って引っかき回されたら、良い気持ちはしないはずです。
その時に最高で頂点の状態を台無しにされたら、それがどれほどのことになるか、想像するのは難しくないですよね。
また、空気が読めない「ふり」は、周囲には意外と見透かされているものです。
相手の表情や目の動き、頷き方などを少し意識するだけでもトレーニングになりますし、自分からとるコミュニケーションも大きく変わっていきます。
3. 非言語でメッセージを伝える方法
①文章の場合
文章でも非言語的な表現は使えます。
読む人の無意識にメッセージを送る効果があります。
・かっこ()「」【】でくくる
・カタカナにする
・色を変える
・前後にスペースを空ける
・文字を大きくする
・斜体にする
・フォントを変える
・太字にする
②会話の場合
会話では次のような要素が非言語コミュニケーションになります。
同じ言葉でも、これらの要素によって伝わり方は大きく変わります。
・頷く
・手を動かす
・体に触れる
・重心を変える
・声の大きさを変える
・話す速度や間を変える
・相手の目を見る
4. 非言語コミュニケーション能力は無理に鍛える必要はあるのか
非言語コミュニケーションに敏感な人もいれば、あまり得意ではない人もいます。
空気を読むことが苦手、疎い、短所だと感じている人もいるでしょう。
もちろん、仕事や公式の場などでは、必要なもの・必ず使うものはありますので、そこは身に付けておくべきとは思います。
しかし、必要以上に鍛える必要があるかというと、必ずしもそうではありません。
そもそも、相手の思いや気持ちを100%読み取ることは不可能です。
自分のことではないため、上手い下手、得意や苦手、能力や経験の問題などとは関係なく、完全にはできないことです。
もし世の中の9割くらいの人が、完全に相手の頭や心の中を読み取れていて、自分が残りの1割にいるのなら話は別かもしれません。
しかし実際には、そんなことはありません。
相手の考えや思っていることを読み取ることが得意な人は確かにいます。
あなたがこの先、医師やカウンセラーなどの専門家を目指すのなら、そういう人たちから学びとるのが賢明かもしれません。
しかし日常生活を送る上では、必ず困難に陥るというような状況はまずありません。
ですから、今自分が苦手だからと言って、別に卑下したり落ち込んだりする必要もないのです。
周りを見てみれば、相手の感情を細かく読み取らなくても、普通に生活している人はたくさんいます。
それよりも、一般的な言語能力、つまり言葉にして伝える力や、言葉を聞いたり読んだりして理解する力をつけた方がより良いのです。
5. 最後の決め手はやはり「言葉」
非言語コミュニケーションは確かに大切です。
相手の気持ちをある程度察する力は、相手に寄り添ってあげる優しさや気遣いの精神も養われていくことになります。
もちろん、純粋に良いことだと思います。
しかし、それ以上に重要なのは言葉で伝えることです。
自分の思っていることを言葉にして相手に伝える力をつけることの方が、何倍も大切です。
・やりたいことがあるなら「やりたい」と言う
・好きなものがあるなら「好き」と言う
・大事なこと、伝わって欲しいことは言葉にする
自分の非言語能力のレベルや、相手のその時の感情がどうかというのは、一先ず横に置きましょう。
自分の思っている気持ちを、相手に正直に伝えればよいのです。
「相手がどう思っているのか」「嫌われたらどうしよう」と過剰に考えすぎると、結局何も行動できなくなってしまいます。
ですから、その考えはもう卒業しましょう。
その反対に、仮に人の頭や心の中をすべて理解し把握できたとしても、きっとあまり面白い世界ではないでしょう。
そんな考えも、この際卒業しましょう。
あなたの自発性も主体性も育ちませんし、すべて相手に知られてしまうという想像をしても、面白くないですから。
実際のところ、非言語コミュニケーションのみで、お互いに納得できる形で物事が完全に成立することは、ほぼありません。
「何となくあなたに好意を持ってます」「はい、何となく察してます」くらいならあるでしょうが、肝心な部分は言葉にしない限り伝わらないのです。
最後の決め手になるのは、やはり言葉なのです。
まとめ
非言語コミュニケーションは、言葉だけでは伝わらないニュアンスを補ってくれる大切な要素です。
ただし、次のバランスが大切です。
・非言語は「補助」として活用する
・大事なことは言葉で伝える
・相手の気持ちも、自分の気持ちも尊重する
無理に非言語能力を高めようとするよりも、自分の思っていることを言葉にして、きちんと相手に伝える力を伸ばす方が大事です。
その上で、表情や声のトーンなどを少し意識してみる。
その方が、コミュニケーションはずっと円滑になりますし、より良い人間関係を深めていくこともできるのです。