勉強や仕事に向き合う時、集中力はとても重要です。
集中できている時間が増えるほど、物事は確実に前に進みます。
多くの人は「頭の良さ」を気にするかもしれません。
しかし実際には、「どれだけ長く向き合えるか」がそれ以上に大切です。
どれだけやる気があっても、1時間も持たないのであれば、成果は出にくくなります。
もし人生の中で「これだけは何としてでもやりたい」ということがあるなら、なおさら集中して向き合う時間を確保することが大切になります。
私自身、音楽で渡米していた頃は、丸1日使える時にはおよそ13時間練習していました。
帰国した後にやりたいことがあったため、どうしても目的を達成する必要があったのです。
また、打楽器だったということもあり、筋肉を痛めたり体を壊さないよう、週に1日は休みを取りました。
練習時間が少ない日でも、最低6時間は取り組んでいました。
さらに、楽器を使わない基礎的な体づくりも続けていました。
このように、自分にとって本当に大切なことに向き合う時期というのは、自分との約束を守りながら、目的に向かって地道に続けていくしかないものだと思います。
さて、自分にとって大切なことを一つでも多く実現していくためにも、どのように集中力を養っていけばよいのでしょうか。
この記事では、集中力を高めて長時間続けるための考え方と具体的な方法を整理していきます。
1. 集中するための基本
集中するためには、特別な精神力よりも、まず基本的な環境づくりが大切です。
例えば次のようなことです。
・あれもこれも同時に考えない
・普段から片付けと掃除をしておく
・普段から適度な運動と十分な睡眠をとっておく
・ここ一番でもないのに栄養ドリンクやエナジードリンクに頼らない
基礎的な体力と睡眠時間の確保は、すべての土台として広くつながることです。
また、やると決めたらすぐに取り掛かれるようにしておくことです。
机を片付けてからでないと何も始められない環境は、これを機に卒業しておきましょう。
そして次に、「集中できている状態」を自分で知っておくことが大切です。
集中している状態とは、今やっていることの最初から最後までを、次から次へと自然にこなしていける状態です。
そのためには、
①これからやるべきことと、そのための時間を決めて切り分ける
→ どんなことを、どれくらいの時間でやるのか
②取り掛かることに対する準備を事前にしておく
→ どこで、何を使うか(机で、ペンとノートとパソコンを使うなど)
③必要な作業項目を洗い出す
→ 何をして、漏れなく完了するか
④作業の順番を決める
→ どんな順番で進めていくか
大体でもよいので、こうした段取りをあらかじめ考えておくとよいでしょう。
「集中しなきゃ」と思うだけで集中できるなら、誰も苦労はしません。
実際には、「集中しやすい流れ」を作ることが大切なのです。
2. 最初は「今ある環境」で始める
大きな目標に向かう時は、
・目的
・実現の計画
・必要な知識(時には技術も)
・必要な道具
などを考えておくと役に立ちます。
ただし、最初の段階から技術の効率や理想の環境を考えすぎる必要はありません。
最初に優先すべきことは、「今ある環境と持ち物で、とにかく取り組める状態を作ること」です。
もし、例えば今よりも、
・お気に入りの文具を使いたい
・静かな空間を作りたい
・人の少ない場所でやりたい
・自然のある環境に行きたい
などの要望が思い浮かんでも、まず実践してみてから自分に合うものを探していけばよいのです。
不安や懸念、欲しいもの、より希望する環境がある場合は、いったん書き出しておいて、やりながら改善していきましょう。
それらを、やるべきことを最低限こなせる状態を作って実践した後の楽しみにすれば、やる気の向上にもつながります。
後でよいものは、後でよいのです。
また、昔にうまく集中できた習慣を思い出して取り入れていくと、それが「自分だけの集中の儀式」になっていくこともあります。
つまり、集中するために「できるだけ雑念をなくす」ということです。
3. 雑念を減らすシンプルな方法
集中を妨げるものの多くは「頭の中の雑念」です。
次のような方法が役立つことがあります。
①書いて忘れる
気になることは紙に書き出します。
見えるところに置いておけば、忘れないように考え続ける必要がなくなります。
今は、やるべき行動に対して自分を向けることが先です。
②3分ルール
3分程度で終わることなら、すぐに片付けてしまいましょう。
小さな用事を溜め込むほど集中力は削られます。
「あれもこれも考えない」状況を作りやすくできます。
③マインドフルネス
「今、ここ」に意識を向けるという習慣です。
集中すべき時に、違うことを考えていてはもったいないです。
意識が他のことに向いてしまったら、「はい、そこまで」と目の前の作業に意識を戻すだけでも、雑念は減っていきます。
4. タスクを切り替えて集中を維持する
一昔前は「集中力は有限」と言われていました。
しかし最近では、脳のスタミナよりもモチベーションの低下が原因と考えられることが分かり始めているそうです。
つまり、「もう疲れたから集中できない」というより、「飽きたからやりたくなくなった」というような状態に陥ってしまっているということです。
人間の脳は、時に驚くほど能力を発揮しますが、一方で子どもが駄々をこねるようにわがままな一面もあるのです。
というように、集中力は「モチベーション」で切れることがあるからこそ、脳の特性を理解して上手に誘導することが重要になります。
よくあることですが、同じ作業を続けると、どうしても飽きが来ます。
「集中している時間を延ばしたい」「一日を通して集中したい」という場合は、作業をいくつかのタスクに分けて切り替えながら進めるのがおすすめです。
例えば勉強なら、
・国語25分、休憩5分
・数学25分、休憩5分
・英語25分、休憩5分
というように制限時間を設けて区切ります。
すると、数学をやっている間に国語へのモチベーションが回復します。
これを繰り返すことで、集中力を高いまま維持しやすくなります。
ただし注意点があります。
似た作業ばかり並べないことです。
例えば、「英単語暗記の後に数学の公式暗記」など、同じタイプの作業が続くと飽きやすくなります。
そうではなく、脳の違う部位を使う作業を組み合わせる方が、集中は続きやすくなるのです。
5. タイマーと休憩を活用する
作業はタイマーを使うと効果的です。
前項でも触れましたが、例えば「25分作業 → 5分休憩」というサイクルを作るということです。
タイマーには次のような効果があります。
・スタート時の「初頭効果」で集中しやすい
・残り時間が迫ると「終末効果」で集中しやすい
この方が、集中していられる時間も長くなり、集中している深さも得られるので、集中の量と質のどちらも向上させやすくできます。
また、疲労が溜まるとドーパミンの分泌が妨げられ、集中しにくくなります。
そのため、最初から小休憩を組み込んでおくことが大切です。
個人差はあると思いますが、午後に疲れやすい場合は、
・午前:25分刻み
・午後:20分や15分刻み
というように、疲労の度合いを見ながら調整するのもよいでしょう。
また、何か物事を成し遂げたい時には、集中して取り組める時間が多いほど結果に直結するものです。
理想は「同じ場所一か所で同じ作業をしても、10時間続けて集中できる」ことかもしれませんが、しかし実際にはなかなか難しいものです。
そういう時は、「集中時間を積み重ねる」という考え方に変えてみるのもよいでしょう。
例えば1日の中で、
・25分作業、5分休憩を、午前4回、午後4回、
・2時間集中を、1日3回
このように積み重ねていく方法でも十分効果があります。
1日10時間集中するのが理想なら、1日5回になりますね。
せっかくタイマーを使うのですから、サイクルもより作りやすくなります。
集中すべき時間の中で何を達成するかを決め、取り組んでいきましょう。
たとえ積み重ねであっても、集中している時間が増えれば、確実に結果に結びついていきます。
6. 場所を変える
長時間集中するためには、環境を変えることも効果的です。
先述の「飽き」との戦いは、よく考えて計画と行動をしていかないと、無駄な時間が発生したり、望んだ結果にたどり着かないことにもなりかねません。
脳の海馬にある「場所ニューロン」は、場所を変えることでも刺激されると言われています。
海馬は記憶の一時保存に関係する部分で、そこが活性化すると記憶力が高まりやすくなります。
つまり、「集中しやすくするなら、場所を変えた方が良い」ということになります。
また、移動することで自然と、「歩く」「体を動かす」といった気分転換にもなります。
自分の部屋しか作業場所がなくても、図書館、自習室、作業可能なカフェなど。
会社であっても移動してよいなら、空いている会議室など。
というように、作業できそうな場所に環境を移してみるのもよいでしょう。
もし、場所を変えるのが難しい場合は、向きを変えるだけでも効果があります。
例えば、
・壁向きから窓向きに変える
・座る方向を変える
といっただけでも、脳にとっては別の環境として刺激が変わるのです。
まとめ
集中力を高めて長時間続けるためのポイントを、最後に整理しておきます。
・今やることを決めてシンプルに取り組む
・段取りを考えて集中しやすい流れを作る
・雑念は書き出して処理する
・作業はタスクに分けて切り替える
・タイマーと休憩を活用する
・場所や向きを変えて脳に刺激を与える
人間の能力は、想像以上に大きな可能性を持っています。
その一方で、飽きたり気分に左右されたりする一面もあります。
これからはきっと、「一度に」「必ず」「全部」という考え方とは違うやり方ができるようになることでしょう。
集中するにしても、その人やその状況によって、向いたり向かなかったりすることもあるのです。
また、脳の特性を理解して上手に誘導してあげることができれば、それも小さな変化を少しずつ起こすきっかけになります。
今までよりも1つでも2つでも多くのことや、新しいことに挑戦することができましたら幸いです。