以下の内容はhttps://handat.hatenablog.com/entry/inception-deck-with-geminiより取得しました。


インセプションデッキのファシリテーターをGeminiに任せてみた

この記事ははてなエンジニア Advent Calendar 2025 25日目の記事です。
昨日は id:SlashNephy さんの Ktor Client の Pipeline を活用したクリーンなエラーハンドリング でした。


インセプションデッキの作成において参加者全員から意見を聞き出しながら認識を揃えるには熟練したファシリテーションスキルが必要不可欠です。進行がうまくいかないとインセプションデッキがその後の開発に活用しにくいものになってしまいます。

そこで、インセプションデッキのファシリテーターをGeminiにお願いしてみたのでやり方を紹介します。

モチベーション

私たちのチームではディレクターがプロダクトオーナー業だけでなく、クライアントとの対応やレポート作成なども担当し、多忙になりやすいという課題があります。 そんな中で要件が曖昧な新しいプロジェクトが始まろうとしていたため、関係者間の認識を揃えることを目指してインセプションデッキを作成することにしました。

リモートワーク環境かつインセプションデッキの経験者の少ない中、うまくファシリテーションできるか不安だったため、AIにファシリテーターを任せられないかと考えました。

※下記の例に出てくるプロジェクト・メンバーはすべて架空のものです。また、一部のプロンプト・Geminiの回答は加工しています。

事前準備

まず、事前に最終的な成果物とするインセプションデッキのフォーマットをGoogle Docs(以下、Docs)に用意し、参加者が編集できるようにしておきます。

インセプションデッキのフォーマット例

インセプションデッキ作成開始

参加者がGoogle Meetに集まったら、一人が画面を共有しGeminiに次のようなプロンプトを入力してインセプションデッキの作成を始めます。
事前に準備しておいたDocsを読み込ませることでGeminiがフォーマットに沿って進行してくれます。

プロンプト

Webでマンガを快適に読める漫画ビューワーを開発するプロジェクトを開始するため、インセプションデッキを作成しようと思っています。インセプションデッキを作るのが初めてなので、ファシリテーターをお願いします。   参加者は handat / sato / suzuki の3名で、1時間で作成できるものを作りたいです。   POの takahashi は不在なので、今回はエンジニア3名の中でインセプションデッキを作成し、後日すり合わせを行う予定です。

最初のプロンプト

Geminiの回答

Webでマンガを快適に読める「漫画ビューワー」の開発プロジェクト、非常にワクワクする取り組みですね!handatさん、satoさん、suzukiさんの3名で、1時間という限られた時間の中で効率よく認識を合わせられるよう、私がファシリテーターを務めさせていただきます。
takahashiさん(PO) が不在とのことですので、本日のゴールを以下のように設定しましょう。
本日のゴール: エンジニア視点での「仮説・たたき台」を作り、後日takahashiさんが「Yes/No」や「修正」を入れられる状態にする。
1時間はあっという間ですので、すべての項目は埋めず、 「エンジニアとして認識を合わせないと手戻りが大きくなる項目」 に絞って進行します。

⏱️ 本日のタイムボックス(60分)

今回は特に重要な以下の4つに絞りましょう。

  1. Why1:なぜやるのか(仮説) 【10分】
    • なぜ今これを作るのか?
  2. Why4:やらないことリスト 【15分】
    • ここが最重要です。風呂敷を広げすぎないよう、エンジニア視点で線引きします。
  3. How1:技術的な解決策 【15分】
    • 既存の資産をどう使うかなど、大まかな構成案。
  4. How5:トレードオフ・スライダー(諦める順番) 【10分】
    • 品質・スピード・スコープのどれを優先するつもりか、スタンスを決めます。

各設問の進め方

1. Geminiが設問の問いかけをする

ファシリテーターのGeminiによる設問の問いかけから始まります。
設問によっては、これまでの設問の内容から回答例や考えるべき観点を明らかにしてくれることもあるため、インセプションデッキ初心者でも何を書くべきかが明確になり、スムーズに進行できました。

最初のステップとして、「Why1: なぜやるのか(プロジェクトの目的)」について、皆さんが現時点で考えていることを教えていただけますか?
例えば、「既存のビューワーは読み込みが遅くてストレスなので、それを解消したい」のか、あるいは「全く新しい読書体験を提供したい」のか、などです。どなたからでも構いません!

2. 参加者がDocsに考えていることを書く

各参加者がDocsに書いた状態

この取り組みの鍵:GeminiとDocsの連携

Geminiのチャットは複数人で共有できないため、Geminiと会話できるのは画面共有をしている一人だけになってしまいます。
そのため、参加者にはDocsに自分の意見を書いてもらいます。その際に誰の意見か分かるようにしておくと良いでしょう。

Geminiは会話ごとに最新のDocsの状態を参照できるので、Docsがホワイトボードのような役割をしてくれるのです。

3. Geminiに要約させる

全員が意見を書き終わったら、Geminiに「書き終わりました」と送信します。すると、それぞれの意見を確認してまとめてくれます。

ドキュメントの更新、ありがとうございます! handatさん、satoさん、suzukiさんの視点が出揃いましたね。

「Why1: なぜやるのか」について、皆さんの意見をまとめると以下のようになるかと思います。

プロジェクトの目的(Why1)のまとめ案: 「人気アニメや映画の影響でマンガへの注目が高まる中、Web環境でもロード時間が短く、誰でも気軽に・快適に楽しめる漫画ビューワーを提供するため」 まずはこの方向性で認識にズレがないか確認をお願いします。


では、次のステップに進みましょう!

4. 参加者で合意した内容をDocsに書く

Geminiのまとめをそのまま採用してもいいですし、さらに議論してより良いものを考えてもいいでしょう。
最終的に決まったものは後から見返せるようにDocsに清書してから次の設問に進みます。

1つの設問が終わった状態

感想

自分がファシリテーターをしていたら、上から順番に進めて途中で時間が足りなくなったり、時間内ですべて終わらせようとしてインセプションデッキが浅い内容になっていたでしょう。
Geminiは進行はできてもタイムキープはしてくれないので注意は必要ですが、最初にタイムボックスが示されていたのでほぼ時間通りに進行できました。実際は10分ほどオーバーしてしまったのですが、それだけ議論は盛り上がったということにしたいと思います。参加者からもポジティブな感想がありました。

まだプロジェクトは進行中ですが、やらないことリストを参考に技術選定を考えたり、トレードオフスライダーを使って具体的な要件を詰めていくという活用ができていると思います。

まとめ

インセプションデッキはプロジェクト初期にメンバーの前提知識が少ない状態で取り組むものです。だからこそ多くのコンテキストを与える必要がないため、AIにファシリテーションを任せやすいと感じました。

エンジニアとして生成AIはコーディングエージェントとしての活用に着目しがちですが、苦手意識を感じやすいファシリテーションやコミュニケーションをカバーするためにも活用してみてください。


はてなエンジニア Advent Calendar 2025 はまだまだ続きます!明日は id:rokoucha さんです。




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