14回目のマイお題です。
このお題は私の人生の連載ブログです。

Hさんはそのうち、自分の家に帰らなくなりました。
「俺の宝物、持って来ていいか?」
それは、同棲を意味していました。
「宝物?」
「一緒に取りに行って欲しい」
と言われ取りに行くとなんと水槽に入った数匹の金魚達。
「留守にして餌をやれないから。こいつら可愛いんじゃ」
日焼けした真っ黒な肌、筋肉質の胸に腕、一見怖そうな風貌から想像できない言葉にキュンとなります。
「今日は、みんなで飯いくか?」返事に躊躇します。
その理由は、Hさんが指定している店が元旦那の近くだからです。
その時、言ってくれたのが「俺がいる、逃げもかくれもせんでいい」でした。
Hさんはお酒が入ると少し喋るようになりますが、寡黙でニコニコしているだけ。
周りの方に「高倉健」さんみたいと言われます。

そして、夜の仕事を辞め、昼間のパートだけに
なりました。
パートの行き帰りに通る道沿いにテナント募集の看板。
ここで店をやりたい。
毎日、そう思いながら通勤していました。
そんなある日、元旦那の会社から連絡がありました。
元旦那が定年退職になるので養育費を一括払いしたいとの事でした。
元旦那と私は年齢が一回り以上違いますが、私も体力が落ち無理の効かない年になっています。
今しかない!
一括の養育費といえそんな大した額ではありません。
内装費にかけられるのも微々たる額です。
取り敢えず内見だけでもと管理会社に連絡。
内装はとても綺麗です。
少し直せば何とかなる。
私の夢やテナントの事をHさんに相談しました。
「夢か!俺も夢を実現できなかったからお前の夢応援したい」と言ってくれました。
2人でもう一度内見。
すると「天井の配管剝き出しはカッコ悪いな。水道もあーやってこうやって・・・」
言葉少ないですが、協力してくれたのでした。
それから、日曜日や雨で休みの日、仕事帰りと改装工事をしてくれます。
「お金ないから」と言うと「お前の夢やろ」とだけ言うのです。
休み返上で疲れないか心配します。
「俺、そんなやわちゃうで」と「それになんか楽しんや」と言ってくれました。
Hさんは廃材やら現場で要らなくなったものを持ち込みドンドン、見違える店になりました。
そして、開店前日、みんなを集めて店でお祝いしました。
この時は、「めし処」としてのスタートでした。