近藤瑞木さんからご新著『江戸の怪談――近世怪異文芸論考』(文学通信)を頂戴いたしました。小社の〈江戸怪談を読む〉シリーズを愛読されている皆様にぜひともお薦めしたい一冊です。
版元・文学通信さんの紹介サイトはこちら↓
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-86766-052-2.html
帯には
怪談は怪異への懐疑という逆境に耐え、鍛えられ、しぶとく生き続けてきた――その世界を新たに切り開く
と唄い文句が踊ります。

副題に「近世怪異文芸論考」と銘打っているのは、江戸怪談がホラーやグロテスクだけではなく、パロディやコメディ、エッセイをも含むすそ野の広いジャンルであることを意識したものと拝察します。恐怖小説、怪奇小説という枠には収まらない、ある意味で雑多な江戸怪談の世界を縦横無尽に論じた好著です。
近藤さんは小社の『新選百物語』(岡島由佳ほか著)でお世話になりました。同書に寄せていただいたコラムは、『江戸の怪談』第二部「怪談仲間とハナシの共同体」の第六章「「百物語」断章」八「怪を語れば怪至る――百物語の現場性」として収録されています。
さらに、第二部第四章「化物振舞――松平南海侯の化物道楽」と、第四部「読本怪談集の世界」の第二章「『老媼茶話』の転変――写本から刊本へ」は、小社新刊『丹後変化物語と化物屋敷』(氷厘亭氷泉ほか著)で取り上げられた話題と重なるところがあり、たいへん興味深く拝読いたしました。
また、細かいことですが、第一部「近世怪談考」の第二章「儒者の妖怪退治――近世怪談と儒家思想」では『〈新版〉鬼神論』(子安宣邦著)も参照されています。
出版業界にいると、時折、あ、この本はうちから出したかった!と臍を噛む企画に出くわすことがありますが、『江戸の怪談』はまさしくそういう本でした。
小社の関連書もよろしくお願いいたします。
新選百物語 | 白澤社 (hakutakusha.co.jp)