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伊勢崎賢治の停戦論ー同意と欠陥について

メモ。
昨夜伊勢崎賢治のシンポに参加。
大方同意できるものだった。
少し誤解をしていた面があった。
和田らと学者のウクライナ戦争停戦声明を出した時の違和感は、一国平和論の空想だと思ったからだ。
 しかしじっくり聞くと、伊勢崎だけは学者というより国連停止監視団の実務家としての、停戦論で、あくまで現状の国家やパワーポリテックスを実体的に踏まえたうえで、「実務的に」停戦作業へ持ち込む話であった。
私が疑問視している「緩衝国家」概念も、国連実務では当たり前のものとされているよううだ。
従って、伊勢崎は、この間のウクライナパレスチナの戦争を、人命尊重の一点で停戦を訴えるのだった。
即ち、これが「緩衝国家」日本のリスクであり、ソ連の「緩衝国家」である北欧諸国のとったソ連大国を刺激しない平和外交が必要だと主張した。
護憲派への批判は私の批判と同じであり、
特にジェノサイド条約を締結していない日本は、「緩衝国家」として大国(米国)の代理戦争を遂行させられやすく、そのときほとんどジェノサイドが伴って起きる。
この条約へは中国、北朝鮮でさえ入っているのに、日本は政治家が誰も早く入ろうと言わない。
これも私と全く同じ考えだ。
(調べると、政府は刑法として「扇動」罪がないため慎重にしたい、それは表現の自由との兼ね合いで難しいとのこと。要は法務官僚の能力が国際水準に追い付いていないだけの理由だ)
もうひとつ、護憲派を批判してきた私と同じ重大な問題を指摘していた。
南北朝鮮分断の国連朝鮮監視団について、国連は80年代にあれは国連とは関係ない、アメリカの恣意的な意向に沿った関係国の軍事組織でこの決定事項に国連は関与できない、と回答している点だ。
つまり米国がその気になれば日本は、日米安保地位協定によって敵対国からは敵国として自動的に攻撃対象となることだ。
伊勢崎が言うには、このことを、最近の防衛大臣防衛省トップも知らないという恐ろしさだと。
台湾有事など、軍事専門家が考えれば、4000万人の国、海を渡って侵攻制圧するようなハードルの高いことはちょと考えにくいが、こういう煽りをされるのも「緩衝国家」の宿命らしい。
韓国でさえ、米軍の通常指揮権(平時)は韓国がもっているのに、日本は指揮権がない国家となっている。世界の専門家は、こうした互恵的関係を剥奪された「緩衝国家」かジャパニーズスタイルと言って驚きと軽蔑の嗤いが起きるらしい。これも日本の政党は本気でどうもしようと言わない、と。
伊勢崎のウクライナ化、日本巻き込まれるな論は理解する。
しかし、私が「ウクライナ戦争論」を書いてより、はっきりしたことがあると思って、機を見て続編を書かなければと思っていることがある。
伊勢崎のような自国平和論の「出汁」に使う観点と、もう一つは、人類史における「正義」の問題なのである。
従って、戦争犯罪などの人権問題を実務的にどう停戦と刑罰を与えるかというレベルと別に、戦争の起こる原理的・哲学的把握が必要であり、そうでないとその貧弱さが20世紀で常識となった民族独立戦争や反植民地闘争を、いまだに遂行する弱気人びとに、どのような戦争もいけないとか喧嘩両成敗だとか言って、結果的に現状大国の横暴を許して停戦妥結するのである。それも強国の利害を刷り込みながら。
誰もが戦争は無意味だと簡単にいえる。特に「巻き込まれるな論」などは。
しかし、失う人命や財産があったとしても、虐げられた人々が命を投げ出しても抵抗戦争をすることがあることを包摂する「平和哲学」が必要だろう。
ウクライナは米NATOの代理戦争だというが、
パレスチナには、イランなどアラブ諸国の代理戦争とは言わない。
夫々の経過はあっても、その国の人々には民族的思いも無念さも同じものとして抱えているはずである。
この戦争は、実務的ーすなわち現状の国家関係を実体化し、小国の抑圧や不公平や人権侵害を固定化して、人命第一とする「絶対平和論」だけでよいのか?
私は、ウクライナ国民の一般意思に従い、第三者が軽々に停戦を言うべきではないと主張し続けてきた。
つまり、現代の戦争に人権概念だけで論じることの危うさを感じるからだ。
「共同体の善悪」、「正義」の問題が未だに人類史上必要だし、そのことを捨象しては、本当の平和は来ないだろう。
ということで、戦争と平和を語るには、レイヤーがいくつか必要で、「正義」論を抜きに語る停戦論は来るべき「平和」のなかに戦争を長引かせることと同等だと認識すべきだ。



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