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【2704冊目】西加奈子『白いしるし』


新潮文庫1002021」全冊読破キャンペーン26冊目。


こういう本を読むと、恋愛というものからずいぶん遠ざかったものだなあ、と思う。一人の人をここまで好きになることの、溶けるような幸福。その相手に恋人がいると知ったときの、ドロドロの地獄絵図のような心境。しかもその相手は彼の異父妹で、彼はその相手のことをこんなふうに言うのだ。「あいつと離れるのは、離れるいうより、剥がす、剥がれる感じなんです」


とはいえ、この時点で小説は半分を少し過ぎたくらい。ここから物語は、主人公である夏目の復活に向けて驚くべき展開を見せる。そして読み手は気づくのだ。これは単なる恋愛の話ではない。これは生きることの、魂の物語そのものなのだ、と。だから本書は、恋愛の成就などどこかに吹っ飛び、夏目の生そのものの高らかな賛歌で終わるのだ。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!





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