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【760冊目】磯崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』

この本はたいへんよくできている。地方自治のテキストとして出色である。

3人の共著なのだが、それを感じさせないほど全体のトーンが揃っている。書かれるべき内容もよく吟味されており、過不足を感じない。「制度論」「機構論」「政策論」「管理論」「住民論」に分かれているのだが、いわゆる各論部分はもちろんのこと、地方自治全般にかかわる総論部分が質量ともに充実している。類書の多くは、総論が薄く各論がやたらに細かいのだが、本書は総論が厚く、各論はコンパクト。

既存の制度やシステムを説明するだけではなく、具体的な利点や問題点にまで踏み込んでいるのも良い。しかも、机上の空論にとどまらず、大学の先生方の本にしては珍しいほど、その記述に現場感覚を感じる。装丁やレイアウトは一昔前の教科書然としているが、内容は現代にマッチしており、かなり力を入れて作った教科書という感じがする。

内容自体はきわめてオーソドックスで、あえてピックアップすべきところは見当たらない。言い換えれば奇をてらわず基本をきちんと書いている。欲を言えば問題点やその構造についてもっと突っ込んで書いてほしいところもあったが、このページ数では贅沢は言えないだろう。いずれにせよ、地方自治に関するスタンダードテキストを一冊、と問われたら、本書か岡本全勝氏の『新地方自治入門』か、どちらを推すか迷うところである。




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