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【496冊目】スティーヴン・キング「ブルックリンの八月」

短編小説「第五の男」「ワトスン博士の事件」「アムニー最後の事件」、ノンフィクション・ドキュメント「ヘッド・ダウン」、詩篇「ブルックリンの八月」、ショートショート(というべきか)「乞食とダイヤモンド」を収める。

キングといえば押しも押されぬモダンホラーの大御所であるが、本書に収められているのはどれもホラーではない。しかし、その饒舌、その描写力、そのストーリーテリングの業は、やはりキングならではである。小説のうちでは、シャーロック・ホームズ・シリーズに一篇を加える「ワトスン博士の事件」と、チャンドラーやロス・マクドナルドなどハードボイルド作家へのオマージュ「アムニー最後の事件」が対照をなしており、面白い。

圧巻は、なんとキングの息子オーエンが所属するメイン州のリトル・リーグ「バンゴア・ウェスト」の活躍を描いた「ヘッド・ダウン」。ここでは、キングの小説特有の粘着力のある饒舌な文章が影をひそめ、スポーツ誌のドキュメントのようなリズミカルでスピード感のある迫真の描写にとってかわっている。しかし、その中に少年時代の憧憬とノスタルジアを感じさせるところは、やはりキングである。

とにかく本書を読めば、キングがホラーだけの作家ではないことがよくわかる。その手腕のほどがたっぷり堪能できる一冊。




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