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【388冊目】田中優子「江戸はネットワーク」

主として文化面から江戸を描いた一冊であるが、面白いのは個々の文人を取り上げるだけではなく、その「つながり」すなわちネットワークという切り口から江戸文化の精華を眺めていることである。

西洋芸術の多くが、一人一人のアーティストという「個人プレー」のみが主役となるのに対して、江戸においては、山東京伝平賀源内のような「スタープレイヤー」もいたのだが、それより匿名のメンバーの「連」によって、いわば相互編集的に文化が生まれ、育ってきた面が強いという。そこで主役となるのは、複数の人間が集まり、互いの当意即妙と相互作用が生まれる「場」そのものである。本書にはそのことがさまざまな側面から描かれているが、特に面白かったのは「連句」のやり方。句が連ねられるにつれて、前の句が思いもよらぬ意味を帯び、光景がどんどん入れ替わってくるのである。

また、「連に集う者」として個々に取り上げられた山東京伝大田南畝などの紹介も傑作である。特に興味を惹かれたのは江戸時代を代表する「スーパー編集者」蔦屋重三郎。その自由自在の発想、八面六臂の活躍、広範なネットワークの見事さたるや、とても現代のサラリーマン編集者の及ぶところではなさそうである。また、山東京伝大田南畝平賀源内らの発想の突き抜け方というのもただ事ではない。こういう突き抜けたユーモア感覚を、われわれはどこで置き忘れてきてしまったのだろうか。




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