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【121冊目】三浦宏(小田豊二聞き書き・石崎幸治写真)「桶屋一代江戸を復元する」

「江戸モノ」続きである。

本書は、当代髄一の桶職人である著者が、自ら作成した10分の1スケールの江戸時代の建物を傍らに、実際にそこを歩くようにして、江戸について語り下ろした一冊である。

そのミニチュアの江戸は、写真で見るだけでも見事の一語に尽きる。実物さながらの遊郭、長屋、湯屋など、職人ならではの目を通した徹底した時代考証をもとに、大胆かつ細部まで丹念に仕上げられ、しかも単なる細工物ではなく、江戸の庶民の息遣いが聞こえてきそうなリアリティが感じられる。職人芸といえばそれまでだが、ホンモノの職人の仕事の極みである。

また、そこを巡りつつ語られる江戸風俗の情景がまた楽しい。遊郭の流儀や長屋の生活、江戸っ子としての心意気に至るまで、当時の情景や人々の心情が鮮やかに描写されている。その裏打ちとなっているのは、江戸の名残りがまだそこらじゅうに残っていた戦前からの、三浦氏自身の体験や見聞の豊かさ、当時の技術を今に伝える職人としての経験の分厚さだろう。それに、語り口の軽妙さも面白い。下町っ子らしい遠慮のない辛口ながら、ユーモアと親しみのあふれる語調で当時を語ってくれている。粋な語り口っていうのはこういうのをいうのだろう。

また、最後の「職人気質」についての語りがすばらしい。金儲けではなく作りたいものを作る。しかも決して手を抜かない。決して妥協せず、誰からでも学ぶ姿勢をもち、人に慕われて人を使う。そういう生き方を通してきた著者の三浦氏の言葉には、一本ぴしりと背筋が通っている感じがする。まさに昔ながらの、本物の職人、本物の江戸っ子である。




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