
僕は15年ほど前に一年間オランダで暮らした。すっかりオランダかぶれになってしまい、その後は2014年と2015年に立て続けに訪問した。ところが不覚にもそこから10年ご無沙汰してしまった。それは、他の国にも行くようになったことと、コロナ禍が効いている。こんな状態ではオランダに対する熱い想いがウソになってしまうような気持ち、いまの世界情勢だと気楽な海外旅行が遠のいてしまいかねないという焦り、そろそろ長時間フライトが体力的につらくなってきたかもしれないという疑念、クソ暑い夏から逃げ出したい気分などがゴチャゴチャと入り交じり、今年の夏こそなんとしてでもオランダ訪問を実現せねばという強固な決断に至った。もちろん、円安やインフレや戦争などに起因するコスト高については、当然大きな問題として立ちはだかった。しかし、まったく根拠なしに「金ならある」と自分に言い聞かせて、毅然とした態度で無視することにした。
そんなわけで、初日の本日は事実上のオランダの首都であるデン・ハーグを訪れた。なぜかというと、かつて車でこの街を訪れた際、高速道路上にびっくり建築がじゃんじゃん登場して驚愕したことを思い出したためだ。当時は運転しながら見ただけなので、うっかりスルーしていた。しかし、このような少々無茶な空間的意味的コンプレックスこそ、オランダらしさの象徴だと思い直し、しっかり鑑賞するために最初の訪問地としたわけだ。
そしてあれこれ見て回り、あらためてそのバカっぽさにあきれかえった。もちろん褒めているんだよ。全力のリスペクトを込めて。実現すべきコンセプトを、多少の生煮え感を残しながらも強引に具現化するという迫力は、真似したくても真似できない。だからこそ、ここには僕らが学び取る要素が内在しているのだと確信している。今回の旅は、人によっては苦手であろうダッチ臭を、しっかり嗅ぎ回ることになりそうだ。