料理は地域差がデカいと思われるのですが、東京のすき焼きは醤油と砂糖やみりんなどを加えた割り下をつかうどちらかというと煮るスタイルのものがメインです。割り下が染みこんだ豆腐がとても好きで…ってそんなことはどうでもよくて、長いことすき焼きといえばそれでしたが、10年位前から、京阪神式の割り下をつかなわい、牛脂を最初に敷きそこにまず犠牲となる肉(と勝手に名付けてる先鋒の肉)を一枚か二枚か用意して砂糖と醤油をかけ、犠牲肉がいい塩梅になったら追加で具材をどんどん足してゆくすき焼きをやるようになっています。
↑のようにいまはすらすら書いていますが最初は「テレビでやっていた」ので「あれをたべてみたい」というおぼろげな証言が出発点で、そのテレビを私は見ていません。ついでに書くと二人とも関東の人間です。その番組では麩を入れていたらしく買い出しリストに麩があって、麩を汁物の具として椀に入れる知識はあっても煮るタイプのすき焼きに麩を入れる習慣が無かったので「麩?」と脳内に疑問符が飛び交っていました。勤務先からそれほど遠くない髙島屋は肉をあんがい安く調達できるのでそこでついでに乾物を扱う売り場へ行き、訊くは一時の恥と考え、すき焼きに入れる麩ってありますか?と訊き、「これがいいですよ」と教えてもらったのが京都の半兵衛麩というところのすき焼き麩でした。訊いたのが京都大阪で強い百貨店だからよかったのかもしれません。
話をもとに戻すと水でもどしたすき焼き麩を、犠牲肉のあとにネギや豆腐などと一緒におそるおそる加えたあと、最初の犠牲肉も味が染み込んだすき焼き麩もけっこうイケるとわかると、すき焼きに麩は必須と考えるようになっています。肉はすき焼き用の牛肉ではなくて多少ランクが落ちてもいいのですけど、麩はランクを落としていません。
未知の食べかたや見知らぬ麩に次第に慣れてくるとそのうち冒険心が疼き試行錯誤し、ここ数年必須と考えるようになったのがマイタケ(シイタケエリンギ応相談)です。もちろん京阪神でそんなもの入れてるのかどうかは知りません。ここではてなの今週のお題「10年前の自分」をひっぱると、麩を入れるの?と迷っているおのれの耳元に「マイタケも入れるべき」と囁いておきたい衝動があります。もっとも、麩?と迷いつつも試行錯誤の過程がちょっと楽しかったので、囁きを聞いても従わなかった可能性が高いのですが。
「歳をとると自慢話と説教と昔話が多くなる」と高田純次さんがどこかに書いていて、ああこれも昔話だよなあ…と書きながら自覚してて、なんかカッコ悪いな…と思えたのでこのへんで。