米澤穂信という名前は知っているけど読んだことはない小説家が居てその人の作品がアニメ化をするというのを本屋で知り、(読書の傾向が常に同じではないもののその作家の作品を)既読の彼氏に訊くと評価が悪くなかったので今夏『小市民シリーズ』というアニメを録画して視聴していました。2話目が「美味しいココアの作り方」で、主人公である小鳩くんと小佐内さんは友人の堂島くんからその美味しいココアの作り方、ちゃんと書けばココアパウダーを入れたあとアツアツのホットミルクを控えめに注ぎ→注いだものがペースト状になったあと→飲みたいだけのホットミルクをさらに注いで砂糖を加える、という手順を教示され、美味しいココアを前半部で振る舞われます。
ところが。
台所のシンクは乾燥し、ココアで汚れたスプーンが1個だけ。牛乳をあたためるためにミルクパンなどの調理器具を使った形跡もなく、どうやってホットココアを3杯作ったのか?という謎が後半部で問題となります。レンジがあるので牛乳をそれで加熱した、というのは簡単に思いつくのですが、前半部で作り方が提示されていてその通りに作ろうとすればもう一つ器が必要ではあるものの、その器もありません。どうやってホットココア3杯を作ったのか?について、そこらへん物語のキモだと思うので小鳩くんの解(は、つい「おお…」と声が出るようなものなのですがそれ)は本作をご覧いただくか原作を読んでいただくとして。
いつものように話は横にすっ飛びます。
「美味しいココア」を視聴したあと、走行中の新幹線で連結器が外れる事象がありました。勾配区間だと連結器が壊れる(たとえば座屈する)ことが有り得ますが平坦区間でそして破損がなく、一報を聞いたときはなんでそんなことが?感がありました。その後、スイッチ裏に車体製作時に出たと思われる金属片が残存しその金属片がスイッチの端子に接触しスイッチが入ったのと同じ状態となり連結器が外れたと考えられ再現実験をしたらその通りになった、という報道が今週に入ってからありました。やはり解を知ったとき「おお…」となっています。
「美味しいココア」も連結器も、最初は結果だけあって過程がわからなかった故にひどく引っかかり、結果につながる過程がつまびらかになった途端に両方とも「おお…」と声が出ています。フィクションと現実の事象を同列に並べるのはいかがなものか?という自覚はあるのですが、一見謎っぽいものにも解があってその解が腑に落ちる快感というのを今夏改めて体感しました。時間的には『小市民』が先だったので、小鳩くんと小佐内さんによってミステリに関するなにかのフタが開いてしまった感覚があります。
まだ全話視聴できていないのでヘタなことは云えないのですが、万人受けする作品ではないけどよい意味で時間泥棒で良質なフィクションだったかな、と。いつになるかわからぬものの原作にも手を出したいところであったり。