
先日、体調が悪くて学校に通えなくなったという女子高生の診察をすることになった。朝起きると頭が痛くて、全身がしんどくて、四月も終わりだというのに一学期はほとんど学校を休んでしまったとのことだ。頭の検査や血液検査をしても特に異常はなく、精神的な問題だろうと思ったので時間をかけて(かなりしつこく)話を聞いてみたところ、学校の荷物が重すぎてそれがストレスの一因になっているのでは?という問題にたどり着いた。毎日背負っていくリュックの重さが10kgを越えるとのことだ。身長150cmもない細身の女の子にとってかなりの(文字通り…)重荷である。
「使わない教科書や資料は学校に置いて帰ってはどうですか?」とアドバイスをしたところ、その子のお母さんは「荷物が重すぎるので”置き勉”させてほしいと学校に伝えたのですが、聞く耳持ってくれないんです」と言っていた。そして”置き勉”できるように診断書を書いてほしい…と懇願されてしまった。さすがに「”置き勉”しなければ病状が悪化するリスクが高いみたいな診断書は書けないです」とお断りした。いずれにしても学校の言い分としては「教科書や資料を学校に置いて帰るような学生は勉強できなくなるから必ず持って帰りなさい!」の一点張りのようだ。
確かにその言い分は分からんでもない。しかしその子の通う高校はトップクラスの進学校ではなく、どちらかと下の中レベルの普通科高校のようだ。大学に進学する学生もチラホラいるくらいで、高校卒業後に就職する学生も多い学校だ。もちろん、大学に進学することが人生の全てではないし、大学や高校で勉強する意味が見出せないのであれば、1秒でも早く社会に出て仕事をした方が絶対に良いと思う。”高卒の資格”をゲットするためだけに通っている子も多いのに、その学校の先生たちが「現代国語の便覧や地図帳、音楽や美術の教科書や資料集も全部家に持って帰りなさい!」と怒るのはどうかと思う(マジで)。

僕の知人に灘高出身の医者がいるが、彼が言うには「灘高の先生の中にも自分(=学生の頃の彼)より頭が悪いな…って思ってた先生は何人かいたよ」とのことだ。灘高レベルになると教師より頭のいい学生なんて何人もいるはずだ。彼曰く「この先生はダメだ」とレッテルを貼られた先生の授業中なんて、6割くらいの生徒が内職(=自分の勉強)をしていたこともあったとのことだ。まあでもそれは十分あり得る話だなと思った。
話を元に戻すが、その女子高生の通う学校の先生たちはあまり学校の勉強ができなかったのではないかな?と想像してしまう。家に帰ってまで音楽や美術の教科書を開いて勉強するやつなんて絶対にいないし、めっちゃ分厚い国語や社会の資料集が無くても、スマホが一台あれば調べることができるじゃんって思ってしまう。毎日10kg以上の荷物を背負って通学するなんて、ピラミッドを作らされていた古代エジプトの奴隷レベルの生活である。そんな体力があればヒマラヤ山脈でも登れてしまうかもしれないし、学校の勉強なんかよりもその方が圧倒的に勉強になるし自信もつくはずだ。
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いずれにしても、勉強の仕方を知らない先生に支配されているような学校に通うのは地獄である。めちゃくちゃ重たい石(リュック)をピラミッド(学校)まで毎日運ぶような生活を続けていれば、背骨も曲がるし姿勢も悪くなる。近い将来、日本中で背骨が曲がって姿勢が悪くなった日本人が大量に発生する時代が来るかもしれない。その時に「背骨が曲がってしまったのは学校の責任だ!」という訴訟が起きる可能性もありそうだ。
やっぱり何かを習うのであれば、その道のエキスパートに習うのが一番の近道になるし、無駄な努力も少なくなる。その女子高生とお母さんに「もしこの問題をホンキで解決したいのであれば、怪文書を飛ばしまくり、SNSで拡散し、メディアに食いつかせ、それを社会問題にしてしまうのが一番の解決策かもしれませんね」と伝えてみたが苦笑いをしていた。本当にやるかやらないかは本人次第であるが、僕が当事者ならそうするだろうなあって思った。何事も本人次第なのである。

それではまた^ ^