以前、こんな記事を書きました。
この記事の中で、精神的孤独と、孤独が健康を害する可能性などについて書きました。
私は、人間はそもそも孤独なものだと考えています。
例えば、人の痛みが分かる人間になろう等と言いますが、他人の痛みは主観的には感じられません。自分の痛みは自分しか分からないものです。
自分の価値観も、自分の生まれ持った感覚も、人とはわかり合えない部分はあると思います。他人と自分の価値観が完全に同一という事は基本的にはあり得ないでしょう。
何か大きな枠組みに自分の思想を近づけて同化しようという人は多いかも知れませんが、それで孤独感がなくなるかは謎です。私はどちらかというとそういう枠組みに近づく程、自分と他人の違いが露わになって孤独感は増すのではないかと思います。
最近、ブラジルでTwitter、今はXですが、禁止されました。その為、人々のメンタルが改善したという報告があります。SNS(これは和製英語なので、正確にはソーシャルメディア)には人が沢山いるのに、何故、メンタルが悪化するのでしょうか。
それは、人との価値観の違いによって、人が争ったり、又、ソーシャルメディアには人は自分の良い点ばかり載せるので、それを見た人が自分と比較して、惨めさを味わうからではないかと考察されています。幸福度が下がるのは、他人と比較するからだという事が様々な研究で指摘されており、かつて幸福度が高いと言われたブータンでもネットが普及すると主観的幸福度が下がったとされています。
世の中には人間嫌いという人がいます。昔の漫画で恐縮ですが、幽遊白書という漫画のキャラクターである仙水忍はこんな風に言いました。
「俺は花も虫も動物も好きなんだよ。嫌いなのは人間だけだ」
仙水は「黒の章」という人間の醜い所を収めた映像を見て、こういう考えに至りました。幽遊白書には妖怪とか魔族という存在がいて、ストーリー後半では人間の悪と悪とされる存在の相対化、逆転が起こって主人公も価値観が大きく変わります。少年漫画には珍しいストーリー展開で話題を呼びましたね。
ソーシャルメディアも黒の章のような邪悪な側面があるかも知れません。
今も色々な所で実際に戦争が起きていますし、善くない事はありますよね。
人間は愚かで嫌いだという人は結構いるのではないでしょうか。しかし、自分もその愚かな人間であって、拭い去れない醜い部分があるという事を直視するのは結構難しいものです。社会変革の為にテロリストになったり、あるいはもっと穏便なものだと反出生主義者になったり、別ベクトルだとヴィーガンになったりするかも知れないですね。宗教にもそういう側面はありそうです。
人間が嫌いなのに、寂しいという人は多そうです。そういう人に正論で、お前も人間だろうとか、動物も争っているとか、傲慢だというのは簡単ですが、それでその人の孤独が癒やされて問題が解決するかどうかは疑問です。では、どうすれば良いのでしょうか。
一つは自分の考えを変える事です。自分の思想を現実に合わせて修正するという事は有効そうです。
しかし、自分の生き方や考え方を変えるのは難しいですし、そう簡単に変えられる訳ではないという点も考慮すべきです。変更不可能な属性が、人間を苦しめる可能性も有り得ます。
もう一つは、孤独を分析する事です。人間は基本的に孤独です。先程言ったように、人は分かり合えない場合もあります。主観を共有する事ができないという事も言えます。この事を独我論という言葉で掘り下げようとしている人もいます。私はその人達の主張に賛同できないので、ここでは引用しませんが、興味があれば調べてみて下さい。
孤独を分析するというのは、別に真っ暗闇を見つめろという事ではありません。人との差異を調べて、何故、自分が孤独を感じるのかを分析するのです。
大抵の場合、人との軋轢は差異を認められない事によって生じます。
自分とは価値観の違う相手を尊重し、異なる意見を面白く感じる事ができれば、主張が違っていても満足できる場合もあります。この方法はかなり有効なので試してみて下さい。人は同化しなくても良いのです。アニメのエヴァンゲリオンではないですが、人は皆、それぞれに異なっていて、余裕がなく、人を配慮できないという事もあると思います。だから、自分の側から相手の良い点を認めようとする意識を持つと、相手にも同じように配慮して貰いやすくなります。
最初、このテーマで文章を書く際、人間が嫌いなのに寂しいというのは根本的に自分の事が分かっていなくて傲慢なのだという論調で書こうとしました。しかし、人は傷つきやすく、脆い存在です。弱い部分を認め、包摂しようという哀れみがなければ、人間は変われないのではないかと思い直しました。
世界は闇という訳ではないと私は思います。
闇があれば光もある。どちらか片方だけではなく、両方の面をそれぞれに見ていく必要があると思います。明るい面にも目を向けていけると良いですね。